ナツキとフユト【22 繊細な花】
ナツキはあっけらかんとしているようでいて、実はとても繊細なことをフユトは知っている
だからこそ、しばらく居候させてほしいと言われたときも断らなかった
あんなふうに言っているが、本当はよほど深い事情があるのだろうと
どこかはかなげな花を思わせるナツキのことを憎からず思っているのはたしかだが、だからといって、簡単に手を出すことなどできない
(つづく)
※「ナツキとフユト」はこの文の下にあります
1ヶ月と少し前から、このアプリを始めて2年目に入り、途中でお題が一周したことに気づいたので、趣向を変えて「ナツキとフユト」を書き始めました
このまま1年続けると、最後に物語としてはショッキングなお題で終わることもわかっています
3年目も同じお題で書き続けるのは、さすがに気が進まないんですが、もしもそれまで続けていたら、その先はお題に関係なく書くというのはアリでしょうかね…
ナツキとフユト【21 1年後】
ナツキは、窓の外の降り止まない雨を眺めながら考える
本当のことを言ったら、フユトはなんて言うだろう
1年後、二人の関係はどうなっているんだろう
できることなら…
(つづく)
ナツキとフユト【20 子供の頃は】
「フユトは子供の頃からカフェをやるのが夢だったの?」
「いや、一人暮らしを始めるのが早かったから、コンビニのメシに飽きて自炊するようになったら、意外と料理が性に合ってて、それでなんとなく」
「へえ、そうなんだ」
「ナツキの子供の頃の夢は?」
「お店屋さん。なんのお店かまでは考えてなかったけどね」
「でも、今は接客業は苦手なんだろ?」
「そうだけど、フユトと一緒なら…」
(つづく)
ナツキとフユト【19 日常】
ナツキが始めたアルバイトは、近くの事務所の清掃だった
食事をしながらフユトは言った
「もっと派手な職種を選ぶのかと思ったら、意外だな」
「実は接客業とか苦手なんだよね」
「じゃあ、カフェなんて無理じゃないか」
「えっ、手伝わせてくれるの?」
「だから、それはまだずっと先の話だって」
いつしか、二人の暮らしが日常になっている
(つづく)
ナツキとフユト【18 好きな色】
ナツキが歓声を上げた
「わー、カラフルだね」
デパートの寝具売り場で布団を買うことにして、それにかけるカバーを選んでいるところだ
フユトが言った
「どれでも好きなのにしろよ」
「いろいろあって迷っちゃうよ。ブルーの小花にピンクのドットに、あっ、迷彩もある」
「迷彩は、なんかイヤな夢見そうだな」
「一つにしぼれないよ…」
「洗い替えに二組買えばいい」
「ホント? じゃあ、小花のと、もう一つはこれにする」
「えっ、迷彩選ぶのかよ…」
(つづく)