いっちぃ

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6/15/2024, 11:13:06 AM

ナツキとフユト【12 好きな本】

夕飯を食べながら、ナツキが言った

「明日、家に戻る」

「えっ、恋人と仲直りする気になったのか?」

「違う。やっぱり別れる」

「じゃあ…?」

「荷物を取りに」

「ここに持ってくるのか?」

「大丈夫、そんなに多くないよ。もともと転がり込んで居候してただけだし」

「え…」

「でも、どうしても持ってきたいものがあってさ」

「何?」

「高校のとき、フユトがくれた本、覚えてる?」

「あれはお前が勝手に持っていったんだろ」

「そうだっけ?」

「そうだよ」

「あの本大好きだから、手元に置いておきたいんだ」

(つづく)

6/14/2024, 12:59:15 PM

ナツキとフユト【11 あいまいな空】

上目づかいに見るナツキに、フユトは言った

「別にここにいてもいいけど、恋人と仲直りしなくていいのか?」

「だって…」

「恋人は、お前が好きだからキレたんじゃないのか?」

「そうかなあ…」

「そうだろ? 今ならまだ間に合うぞ」

「でも…」

「なんだ、はっきりしないな」

答えないまま、ナツキは窓の外を見て言った

「今にも降り出しそう…」

(つづく)

6/13/2024, 12:16:00 PM

ナツキとフユト【10 あじさい】

スマホを見ながらナツキが言った

「フユト、『あじさい』知ってる?」

「そのくらい知ってるよ。そこの公園にも咲いてる」

「花じゃなくて、『味の祭典』。駅前のデパートでやってるフードフェスだよ」

「そ、そうか」

「今度の週末、一緒に行かない?」

「別にいいけど」

「やったー」

「って、それまでここにいる気か?」

「…ダメ?」

(つづく)

6/12/2024, 11:31:53 AM

ナツキとフユト【9 好き嫌い】

ナツキがベッドに寝転んでスマホを見ていると、フユトから電話がかかってきた

「今から食材を買って帰るけど、ナツキの嫌いなものは?」

「人参とピーマン」

「なんだ、子供みたいだな」

「だって嫌いなんだからしょうがないじゃん」

「じゃあ、好きなものは?」

「フユト、なんちって」

「おい…」

(つづく)

6/11/2024, 1:14:22 PM

ナツキとフユト【8 街】

ナツキが朝食の後片付けを引き受け、フユトは出勤して行った

ナツキは、マンションの窓から外を覗く

眼下に、朝日に照らされた街並みが広がっている

ぼんやり眺めていると、足早に駅に向かうフユトの姿が見えた

ナツキは、微笑みながらつぶやく

「この景色、好きかも」

(つづく)

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