海ナシ県育ちで、わりと地味な人生送ってるもんで、夜の海ってあんまりよくわからないんだよね
好きな人と2人で夜の海辺を歩いたら、ロマンチックだったりするのかなあ
波をパシャパシャしたら、夜光虫がキラキラ光ったりして
そういうの、やってみたいけどね
夏の初めの小雨の降る日、自転車で見通しの悪い住宅街の交差点を渡ろうとして、車と接触しそうになって転んだのはホントの話
車を一台やり過ごして、カーブミラーを見たら何も映ってなかったから前進したんだけど、すぐ後ろにもう一台いたんだよね
ぶつかってないから大丈夫って言ったんだけど、ドライバーさんが一応警察に届けるって言って、生まれて初めて現場検証ってやつに立ち会った
なにしろぶつかってないから、いたって和やかな雰囲気のまま終わったけどね
でもホント、ぶつからなくてよかったよ
後からゾッとした…
世の中思い通りにいかないことも多いから、ストレスたまるよね
あんまりため込むとメンタルやられちゃうから気をつけないと
でもホント、恋も仕事も夢もなかなかうまくいかなくてさ
それで僕は小説を書いてるんだ
自分で書けば、ぜ~んぶ思い通りだからね
でも、書き始めてから気づいたんだけど、僕って意外と悲しい話とかバッドエンドが好きだったりするんだよね
これってどういうんだろ
学園祭のために組んだバンドでキーボードを弾いていた君
ボーカルやギターが派手なアクションでアピールする後ろで淡々と演奏していたね
でも、君のソロが始まった瞬間、会場がどよめいた
アマチュアとは思えないくらい素晴らしい演奏だったから
その後、噂で音楽事務所に入ったって聞いたけど、テレビの音楽番組で、某有名バンドの後ろでキーボードを弾いている君を見つけたときは、びっくりしてソファから転げ落ちそうになったよ
相変わらず淡々と演奏してる姿が見られて、なんだかすごくうれしかったんだよね
麦わら帽子をテーマにした、ちょっとくすぐったい歌詞のヒットソング
あれとはまたイメージが違うんだけど、高校生の頃、私服のときにカンカン帽みたいなのを被ってた女の子がいてさ
スリムでボーイッシュな子で、ショートヘアにカンカン帽がよく似合ってた
実はちょっといいなと思ってたんだ
卒業するまで、口を聞く機会はなかったけどね