最悪な日は
いくつあるのだろう
それはひとつ
更新されていく
最悪の日
最後にわかるはず
誰にも言えない秘密を作ってしまったことは誰にも言えない
私の体は
ますます小さな星になった
縮む速度はさらに速くなった
高熱の出た日には、狭い部屋がますます狭くなる
追い詰められ、逃げ出すことも叶わず
ひたすら
まどろみの中で、まるで生贄のようなあきらめと、
普段とはまるで違う、さもすれば少しハイになっている、不思議な状態で寝転がっている
幻のような光景
現実との剥離
そうだったらいいのに、と願っている
「狭い部屋」
その女は失恋した。
世界一の不幸者だと思った。
水槽の中で横に並び泳いでいるメダカですら、女の神経を逆立てた。
気分転換にと読んだ、小説の主人公の恋愛がうまくいくと、女は苛立った。
本を壁に投げつけ、本と壁紙が破れたが、それを見て「ざまあみろ」とニヤリとした。
次の日になってそれを見ても、後悔するべきことだ、ということに気付かなかった。
それほど女は病んでいた。
ある日、突然、空からいくつもの魂が流れ落ちた。それを嬉々として眺めている男がいた。
男は、自分が、かつて愛していた女たちの魂を呼び寄せた。
もう孤独に耐えられないと思ったからだ。
好きで永遠の命を持っているわけではない。
これ以上、置いていかれるのには耐えられなかった。
男は追い詰められ、過去に執着した。
これ以上、自分を置いていく者を増やしたくない。
それは呪いにも、叫びにも似た渇望だった。
魂は、数ヶ月経っても降り止まなかった。
失恋した女は空を見上げた。
外に出ると、空から多くの魂が際限なく降っている。
誰から見てもそれは女性の魂で、人々は極力、出歩かなくなっていた。
しかし、女はその光景に憧れと希望を抱いた。
「私もあんなふうに空から降りてみたい」
女は瞑想し続けた。
毎日祈り続けた。
しかし、いくら待っても、女の順番は来なかった。
待ちくたびれた。
来るはずはないのだ。
女は、その男に愛されていたわけではなかったのだから。
それでも、いつかあんなふうに美しく舞い降りたい。
女は、いつまでも待ち続けた。
「失恋」
正直は人生のいち通過点でしかないはずなのに
傷つけたり
傷つけられたり
正しかったり
正しくなかったり
誰かの正直は誰かの嘘
そんなときもある
自分勝手な人間の正直さは人を不幸にする
いち通過点は
とても長い線となることもある
「正直」