雪月栞

Open App
9/14/2022, 12:44:50 PM

「無辜の怪物」

私はまさにそれだった

何も悪いことをしていない

ただ捨て子で、ちょっと頭が良かった

ただそれだけ

それなのにみんな、私のことを化け物だという

ひそひそと陰口を言い、足をかけて転ばせる

私が転べば彼らはげらげらと笑い、去っていく

そんなある日のことだった

「わっ、血が出てるよ!?大丈夫??」

私よりも泣きそうな顔をした君と出会ったのは

君は私の傷口を拭って、絆創膏を貼ってくれた

私と友達になってくれた

私のせいで標的にされても友達でいてくれた

それが、とても嬉しくて

だから、私は決めている

この命が燃え尽きるその日まで、私は君の友でいる

この命が燃え尽きて、生まれ変わっても

私はまた君の友になろうと


『命が燃え尽きるまで』

9/13/2022, 1:07:14 PM

ずっと夜のままだった

辛くて、苦しくて、立ち直れなくて

私の心には、一向に陽光が差さなかった

「心だって、風邪をひく」

そう言われた時、やっと、夜が明けていくような気がした


『夜明け前』

9/12/2022, 12:58:23 PM

友達がよく話す「好き」を理解できなかった

親も、友達も、私はみんな好きで

でも、その好きはみんなの言う「好き」とは

何かが違うらしくて

だから、あの日に

あなたに助けられたあの日に

心臓がありえないくらい大きな音を立てて

私が恋を知ったあの日に戻りたい

恋なのかな、勘違いかも、なんて悩んで

結局なにも出来なくて

すべて失ってから気が付いた

────あれは、紛れもなく本気の恋だった


『本気の恋』

9/11/2022, 12:16:36 PM

今日も1枚、カレンダーをめくる

あなたと会えなくなってからどれくらいの月日が経ったのだろう

寂しいけれど、苦しいけれど

それでも、私は今日も笑って言うの

「私はまだ大丈夫」

────きっと、怒られちゃうな


『カレンダー』

9/10/2022, 2:00:39 PM

────いない

どこを探しても

あなたがいない

わかっていたはずだった

わかっていたはずだったのに

私の胸は大きな穴が開いたように空虚で

嗚呼、どうしてか涙が止まらなかった


『喪失感』

Next