もっと知りたいが高じて貪欲に書物を読み漁り知識を蓄えていったが、ある日、それが一杯になった。もうこれ以上覚えきれない状態である。それがどういう感覚かはうまく説明できないのだが、誰しもその時がくれば、ああこれがそうだと感じると後から医者が教えてくれた。
例えば信号が赤いので止まるのはいいのだが、左側通行と右側通行の国では信号の赤黄青の順番に差はあるかに興味を持ち、それを調べた結果、違いがあるとわかると急に動悸が激しくなり、冷や汗が出て、なんとも知れない頭の痛さを感じる。これがその症状である。
医者はさもよくあることだと言わんばかりに「心配いりません。知識が満杯になっただけです」と言うがそんな症状聞いたこともない。薬を処方されてすぐに飲んだが、病院からの帰り道にスマホで調べてしまった。「知識欲過多満杯症候群」と言うのだそうだ。
頭痛えぇ、薬効いてないじゃないか!
唯我論とまではいわないが、世界は本当の人類とNPCでできている。だいたい半々くらい。NPCは世界を安定するように動いているのだ。平穏な日常はNPCのおかげ。
ちょっと周りを見てごらんなさい。あそこで靴紐を結んでいる人、右の靴紐、左の靴紐、しばらく見ているとわかる、ほら、また右の靴の紐を結びだしたよ。あれがNPCだ。多分明日も靴紐を結んでいるだろう。あの動作が平穏な日常にどのように寄与しているかは、よくわからないんだけどね。
まあ、俺も毎日毎日、この場所の自動販売機で缶コーヒーを買ってるんだけど、飲んだ記憶が無いんだよな〜。
僕らは何も考えずに生きていた。愛と平和の世界に生まれたと思っていた。ただそれは一瞬に過ぎない。あっという間に世界のバランスが崩れてしまう。言葉にしなくても感じた愛と平和は、言葉にしないと消えてしまうものになった。
彼は自分の人生を振り返っていた。子供の頃からの嬉しかったこと、悲しかったこと、さまざまな出来事が一度に蘇る。今再び過ぎ去った日々を生きている気がした。長かったような人生も思い返すとあっという間。ああ、これが死に際に見るという走馬灯か……。
全てが消え
お金より大事なものは愛だとか友情だとか経験だとか、実はそんな偽善的な話じゃないんです。お金より大事なのは、お金を数える時間ですよ。使う時間ですよ。そしてお金を隠す場所ですよ。下手すると税金で持っていかれちゃいますからね。
もっとも、
たくさん持っていればの話ですが……。