★お気に入り★
お気に入りのブランドの香水がある。強い香りが苦手な自分でも使える、優しい香りがコンセプトのブランド。
その中のひとつ、特に大好きな香りは、通院の時……決まった曜日に、いつも少しだけまとっていく。
木曜日ーーー
気付けばいつの間にか、通院のない時でも毎週必ずまとう香りになった。
あなたに会える時の、大好きで大切な……何だかお守りみたいな特別な香りになった。
大好きな先生(ひと)が、すぐ側にいてくれるみたいで、守ってくれてるみたいで、すごく安心するんだ。
ただの勝手な妄想だけど、そう思うだけで不思議と頑張れる気がするの。
★1000年先も★
この生がやがて終わりを迎えて、そして生まれ変わってもーーー
私はきっと
またあなたを好きになる
またあなたに恋をする
まったく別の人生になるだろう
いいえ……人ではないかも知れない
それでもいい
私が花であったなら、あなたを癒せるよう、命の限り咲き誇りたい
私が風であったなら、あなたを優しく包みたい
私が空であったなら、あなたがいつも笑顔でいられるよう、穏やかな青でいたい
雨の一雫であったなら、あなたが流した涙と一緒に頬を伝おう
木漏れ日の光のひとかけらであったなら、眠るあなたのまつげにそっと降り立ち、温かな夢を見せよう
ひとひらの雪ならば、あなたの手の中で解けて消えてしまう運命でもいい
10年…100年……1000年ーーー
どれだけ時が経ったとしても
たとえ記憶がなくなっても
あなたへの想いだけは忘れない
★あなたに届けたい★
ねぇ、先生。
私の中には、先生に…先生だけに届けたい気持ちがたくさんあるよ。
ありがとう
大好き
ごめんなさい
ずっと側にいたい
その声をずっと聞いてたい
その笑顔をずっと見てたい
ずっと側にいて
その腕でギュッてして
その温かな手でもっと触れて
先生と出会えて幸せ
私、もう他の誰かを好きにはなれない
先生だけだよ
たくさんたくさん伝えたい。
でも、伝えることは……できない。
ほんの数センチ先の先生の瞳は、私の心臓を射抜くように真っ直ぐで、鏡のように私を映してくれているのに、届けたい気持ちはその瞳も、心もすり抜けていく。
届かないなら、伝えられないなら、想いにカギをかけてしまえばいいのに。
だけど先生……それは無理みたい。
だってどんなに頑丈にカギをかけても、何度カギを変えても、先生を前にすると想いのドアは簡単に開いてしまうから。
いつか……いつか……この想いを先生に届けられる時は来るのかなーーー
★安心と不安★
いつも隣り合わせの気持ち。
時々不安の方が大きくなって、負けてしまいそうになる。
それでも押し潰されずにいられるのは、信頼できる先生達がいてくれるから。
温かくて、優しくて、いつだってすぐ側にいてくれる。
時に一緒に悩みながら、治療のゴールへの選択肢を示してくれる。
これからの人生を元気に生きていくためのサポートをしてくれる。
不安が消えてなくなることはないけれど、先生達がくれる大きな安心が、隣にいる不安を包み込んでくれる。
★夢を見てたい★
私だけを見てくれる、真剣で優しい瞳
私だけに紡いでくれる、たくさんの言葉、その穏やかな声
そっと触れ合った指先
温かくて安心する大きな手
白衣とともに、誇りと自信をまとった、眩しくてカッコイイその姿
あなただけが目に映る時間
あなたの声だけに鼓膜が震える時間
あなたの息遣いに合わせて高鳴る拍動
あなたに出会ってからの一瞬一瞬は、全てがまるで夢みたいだ
ならばもう
このまま覚めない夢の中にいたい
もしも、この夢から二度と出られなくなったとしても
もしも、あなたとの時間の中に溶けて消えてしまうとしても
私はきっと、現を選びはしないだろう