目の前に、クラスメイトが2人いる。
一緒に帰っているはずなのに、自分を外した2人でいつまでも喋っている。
正直、話に入っていけない。
話の内容に興味がない。
なぜ一緒に帰ることになったかといえば、昨日見たバラエティ番組のことで話が弾んだからとだけ。
それ以外の話題となると、コスメやら推しのグループやら、自分に興味がないものの話題になっていく。それが相手にはつまらなかったのだろう。
私はそっと、2人から離れた。
担任は言った。「自分から話題に入りなさい。相手の趣味を理解しろとは言わない。知っておきなさい」。
私は心で反論する。「それなら、なんで向こうは話しかけてこないんですか!?向こうはこっちの趣味を知っているんですか!?」
だってそうだろう。
お互い様ってやつだ。
お互いに、趣味じゃないものを知るための努力なんてしたくない。仲良くしたくない。こういうことだろう。
いいじゃないか。
分の時間を自分で好きなように使うんだ。
だから私は、独りでいたいんだ!
その昔、宇宙遊泳する夢を見た。
宇宙服も必要なく、呼吸もできたことに対して、私は全く疑問を持たなかった。夢というものは実に都合が良く、自覚が難しい。
この宇宙では息ができるのだが、何故か太陽に顔を向けると息ができなくなる。
だから私は、太陽から完全に顔をそらしたままで無重力の中を漂っていた。
しかしやがて好奇心が頭をもたげ、遂に太陽を直視した。
目が潰れるということはなかったが、息ができない苦しみが私を襲う。
これで終わりなのか…。
布団の中で目を覚ますと、太陽があった場所にはまだオムツをしていた妹の尻があった。
寝相の悪い妹は、眠っている間に人の顔近くにまで移動していたらしい。
私はオムツに顔を突っ込んでいたようだ…。
やりたいことリスト
絵の練習。
本を読んで語彙力を上げる。
書きかけの小説(嗤)を完成させる。
TRPGを勉強して、シナリオを作る。
そうだ。
何かを作って、誰かの記憶に残りたいんだ。
それ以外にも、やりたいことはたくさんある。
時間が足りないなぁ。
「月に願いって、元ネタは何?」
遊びに来た友達は雑誌から目を離さずに、声だけをこちらに飛ばした。
「知らん。歌かなにかじゃないの?」
マニキュアを塗りながら答えると、それが彼女の気に入るものではなかったようで、「つまんないの」という声とともに読んでいた雑誌が飛んできた。
「願うと、どうなるの?」
「知らないけど、落ち着くんじゃないの?」
片手分が終わった私は雑誌を投げ返す。
ストレス発散の方法に、声を出したり言葉にして吐き出すといったものがあったと思う。
声に出すことで目標をはっきりさせるとか、諦めるとか、何かしらの納得でもするんじゃない? そう答えると、彼女は「そういう考え方ね…なるほど」と雑誌をしまう。
「私も、今度月に願ってみるわ。
好きな人との両想い」
がんばれ〜と応援すると、彼女は窓からまだ明るい空を見上げた。
次の日から、彼女はこれまで以上に一緒にいることが多くなったけど、何を願ったの。
真夜中。
主に深夜を指す言葉だが、私は感覚で別の捉え方をする。
それは、真っ暗の中。
月も星もなく、ただただ暗い空間が私にとっての真夜中だ。
そこは本当に独りだけの場所で、当然話しかける人も、同じ場所にいるだけの人もいない。
誰にも会わず、誰のことも考えなくていい。
それが私にとっての真夜中。
私だけが漂っていればいい場所。