マコトの初恋は、いつの頃だったろうか。
昔から現実にいる異性に恋心を抱いたことはなく、すべてがテレビの向こう、動く絵であった。
実ることのないはずの赤い実が弾けてしまったことはマコトにとって悲しむことでも悔しがることでもなく、自然なことだ。
今日もマコトは誰に迷惑をかけるでもなく、秘めた想いを胸に生きていく。
惨めになるから優しくするな。
悔しくなるから優しくするな。
頼むよ。いつも通りでいてほしいんだ。
やらかしたことを自分で考えて、答えを出したいから、優しさは邪魔なんだ。
優しさはいらないんだ……今は。
とある作家が、作品の中で楽園を見た男の話を書いていた。
その男の見た楽園は、確かに楽園と銘打つに相応しいもの。おそらく、世界の大多数が願っている環境だった。
しかし、「幸せ」「好み」「楽園」…自分に良い気持ちをもたらすもの、「不幸せ」「嫌い」「地獄」…自分を嫌な気持ちにさせるものはその人によって違う。
私にとっての楽園はなんだろう。
現実ではない環境がそれに当たるかもしれない。
家族仲が良かったあの頃?
子どもでいられたあの頃?
魅力的だが、それは引きこもっていたい時代だから楽園ではない。今となっては憧れる過去である。
好きなときに好きなものが側にあって、食べたいときに食べられるような…。
碌でもないな。今のナシ。
流れ星に、願いを3回唱えれば叶うらしい。
なんともロマンチック。
なんとも子供だまし!
「あんな一瞬で、言えるわけねぇだろがー!」
頭の上で、星が流れた。
一昨日は晴れ。
思い切り喧嘩したから。
昨日は曇り。
仲直りしたいけど、どうすればわからなかったから。
今日は、雷。
仲直りしたいのに、話を聞いてもらえないから。
こどもというものは、好奇心のままに動く。
その結果、思った結果にならずにもどかしく思う。
好奇心のままに相手に思ったことを伝え、自身はスッキリしても相手は雷を抱えたまま。
沈んでいるその子の心は天気のよう。
どうか、諦めずにほんの少しの光を差せますように。
今日の心模様