仲が良いからと、やたらとくっつけたがるクラスメイト、大嫌いだった。
お前が私とくっつけられる噂が流れたら、どうするつもりだったのかと小一時間問い詰めたい。
どんなに気を遣ったって、相手に届かない。
こちらが何かを言えば「でも…」で不幸マウント取ってくる。
できるだけ聞き役に徹すれば「自分がないの?」。
それではと意見を言えば「あなたはすごいね…」。
挙句の果てには「あなたにめちゃくちゃにされた。もう◯ぬ!」……。
ああ、もう馬鹿みたい。
風が心地良い。
一歩先には道がなく、はるか下にはアスファルトを走る車の列。
ああ、ワクワクが体から溢れだしそうだ。
ここまで来るのに、たくさんのことがあった。
たくさんに我慢して、時に戦って、負けても進み続けた。
頑張ったよ。
嬉しいことも、楽しいことも、悲しいことも、嫌なことも、いろいろあった。
この手には、そんないろいろを書いた紙飛行機。
ここで今まで積み重なったいろいろを捨てて、また歩き出そう。
新しく歩きだす。新しい私を始めるんだ。
考えるだけで胸が高鳴る。
さあ、飛び立て!
「星だ!」
私が飲んでいたクリームソーダのコップを指して、隣の席の子供が嬉しそうな声で笑う。
下から上がっていく空気の粒…言うほど星かなぁ?
「そこから、空に上がっていくんだよ!
空に上がって、ぴかぴか光るんだよ!」
子供は自分の母親に、得意そうに説明する。
そうか、コップの狭い世界を出て、果てのない空に行くのか。
それはきっとこの子供の視野のように、のびのびとできることだろう。
でも、その星のこどもは大半が私のお腹に入っていくのだ。
ストローを上るクリームソーダを見て子供が残念そうな声を上げるので、私は少し笑ってしまった。
「安らか」でググるとその言葉の説明がヒットするけど、「安らかな瞳」でググると御臨終やら葬儀やらがヒットするので、今回はその事実だけを書きますね。