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6/29/2025, 1:09:18 PM

「青く深く」

ぼくは自分が嫌いだ。
ぼくの目は特殊だ。日本人なのに、目が青い。なるで、化け物みたいじゃないか…皆んなは、綺麗な茶色なのになんで、ぼくだけ…

「綺麗だなぁ」
僕の趣味は、夜に海を見に来る事だ。月と海が重なって星のように輝いている。
「僕もあんなふうに、なれたら…」

「そこで、なにしとる坊主!」
「漁師のおっちゃん!」
「夜に子供1人、夜危ないやろ!」
「あはは…ごめんなさい」
「きおつけーや、坊主、おかぁーちゃん、元気か?」
「えっと…母は、まだ…」
「大変やなぁ、病気で入院して5年…昔はよく、お前の事あずかっとたな。片親なのに、おかぁーちゃんが動けんくなって、お前はよぉー頑張っとるよ」
「あぁ、はい!ありがとうございます」
僕とおちゃんは、砂浜をゆっくり歩いていた。
「自分な、海大好きやねん」
「そんなんですね、僕もです。特に夜のキラキラ輝いてる海が大好きです!」
「わはは!そりゃ、ええ思いや!…今思えば、海ってお前に似てるな」
僕が、海に似てる?いやいや、そんな海みたいに綺麗じゃないし、輝いてないよ…僕なんか…
「化け物ですよ、瞳も青いし…」
「…おちゃんが坊主の事、海に似てるって言った理由わかるか?」
「瞳が青だから?」
「ちゃうちゃう!それは、坊主が輝いてるからや。さっき言てたやろ、キラキラしてて綺麗な海が好きって。お前まんまやん!羨ま…」「何も…知らないくせに!」
「僕の瞳は、変なんですよ!変!僕だって、普通の子して、生まれたかった!普通の容姿で、普通の家庭で…」
おちゃんが、僕の頭を優しくなでた。
「お前は自分の事、変人や化け物やと思っとるやろ。ちゃうで、お前は十分、綺麗で輝いてる。普通じゃなくてもいいねん。普通なんてないねん。目青いのも、お前の個性や!大事にしぃーや」

僕は、家に帰ると窓から見える海を見ていた。
「綺麗だなぁ」
僕は、青く深い海が好き。キラキラ星のように輝いてる海が好き。おっちゃんの話聞いて少しは自分の事好きになれた気がする。

僕は、個性豊かな僕が好き。

6/29/2025, 8:34:46 AM

「夏の気配」

僕は、冬が嫌いだ。
だって、寒いし…冬の初め、妹が死んでしまったのだから。
周りの皆んなは、雪だ!とはしゃいでいるが、ぼくは
妹の死に、気をお取られそれどころじゃない。
妹、夏ちゃんが死んだ。明るい子だった。優しかった。なのに…修学旅行で山に行って、雪崩に巻き込まれて、死んでしまった。
卒業した、姿を見たかった…もう一度でもいいから…あの笑顔がみたい。なんで、これから先、明るい未来がある、夏が死んでしまったのだろう。夏は、ぼくと違って良い子だった。死ぬなら、ぼくが良かった…なんで…なんで…なんで!!

まだ、雪が降っている。ぼくは、こんなにも、泣いて責めて苦しんでいるのに、僕の事は気にもせず無機質に雪がふっている…あぁ、なんでこんなにも、寒いのだろう
寒い…寒いすぎる…ぼくの夏は、どこに行った?

気づけば、マンションの屋上に来ていた。
ふと、周りを見渡せば、雪景色。
「綺麗だなぁ…」
柵に手を出して、飛び降りる準備をする。
お母さん、お父さん、今までありがとう。
        ビュー
強いくて、冷たい風が僕に突き刺さる。
「これで、いいんだ…これで…」

       「お兄ちゃん」

お兄ちゃんと、呼ばれた気がする。そんな事あるわけないのに、僕は後ろに向いた。

「お兄ちゃん、今日ね!お友達と公園行ってきたんだ!
寒かったけど、この寒さを忘れてちゃうぐらい楽しかったよ!」

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後ろには、何もない真っ白な景色があった。なにか、いるはずはない。つらいなぁ、変な希望を持ってさ…
夏は、死んだ。現実は、つらい。苦しい。悲しい。
「もう一度…ぼくの事を、お兄ちゃんと呼んで…」

あの日、ぼくの中から夏の気配がきえた。