君とずっと一緒にいる訳では無いから。
ずっと紡がれない。透明の糸。
前まではずっと一緒のはずだった。
いつからだろう。君が僕を嫌ったのは。
僕は今も1人きりで君を待っているよ。
失われた響き。君の声。
願っても願っても戻らない優しい君。
もう君は僕の事を好きなんかじゃない。
前まで僕に優しくしてくれた君の手を、もう一度、もう一度だけ繋げたら。いいな。
霜降る朝。今日の朝はいつもより寒く、なかなか起きれずにもう完全に遅刻の時間になっていた。よりによって今日はテストの日だ。こういう時、心配して起こしにくるのが親のすることだろう。でも、うちの親はそんなこと全くしない。僕にはさっぱりだ。
本来は遅刻の時、尚更テストの日には急いで学校に向かうべきなのだろう。僕は何故か頭は急いでいるのにも関わらず体が諦めに似た一種の快楽を覚えていてどうにも急ぐことは出来なかった。
現在9時。やっと家を出るとこまできた。
けれど、僕はもう急ぐという事を知らなかった。
今日だけは誰もいない通学路をゆっくりと歩こう。
ある日突然、時を繋いでいる糸のようなものが見えるようになった。どうやら見えるのは僕だけみたいだった。何故僕なんだ…?と不思議に思うが恐らく、僕がすべきナニカがあるんだろう。多分…。
糸は皆、それぞれの手首に巻きついていた。もちろん、僕にも。好奇心で自分の糸を少し手首から解いてみた。
そしたら…なんと過去に巻き戻ってたんだ。ちょうど1日前に。この糸は1日、1日が積み重なるほど巻かれていくらしい。それはすなわち、解いていけば過去に戻れるってこと…。
……ならば、後悔してる事をやり直しにいこう!それしかない!こんなことや、あんなこと、今でもすごく後悔してるんだ!どんどん巻き戻そう!僕がどんどん糸を手首から解いていると突然、糸が切れる音がした。
ぷつんっ
あ、死んだ。
ついこの前までは君と紅葉の道を歩いていたんだけど……。
今はただ1人、1人で落ち葉の道を歩いてる。
…君も紅葉と一緒に散ってしまったのかなぁ…。