「ないものねだりはやめなさい。」
昔、母にこう言われた。どうやら僕は昔から「自分に無いもの」を欲しかったようだ。
でも、誰にでも「自分に無いもの」は魅力的に見えると思う。きっと僕だけじゃない。いまでも鮮明に覚えてるのは小さい頃、友達が持っている沢山の宝物への心惹かれる思いだ。人が持ってると自分が持っているよりまるで煌めく宝石のように随分と輝いて見える。だから人間はこの世の全てを欲しがるのが僕は当たり前だと思うんだけど、こんなにも無い物ねだりをするのは僕だけなんだよなぁ。
「好きじゃないのに」
好きじゃないのに、ずっとこのアニメ見てる。
最初から見てて…面白くないのにどこかもったいなくて見ちゃうんだよな。不思議。
…でも、たまに録画するの忘れて見れない、となると何か物足りない気持ちになるのは何故?
「この世界には絶対にやってはいけないことがあるんだよ。」
そう言って不敵に微笑む男。
「ふぅん。それは例えば?」
男の顔から笑みがきえ、まるで時が止まったかのように微動だにしない。
体感1分位2人して黙っていたところで男が口を開いた。
「例えばって…なんだよ。」
「……は?」
考えもしていなかった答えに、驚きを隠せない。
「どういうこと?」
「…さぁ?ま、精々あんたが今までやってきたおこないでも振り返ってな。」
男は一気に言い切ると、ポケットに手を突っ込み黒い塊を取り出し、それを俺に向けた。
「地獄で。」
男がそう言ったと同時に、体に尋常じゃない痛みが走る。
なんだよ。知ってたのかよ…。
絶対やってはいけないこと?そんなの誰よりも知ってるさ。
薄れゆく意識の中、ただ男が勝ち誇ったように笑う声がはっきりと聞こえていた。
「なぁ、なんでこの時計、修理に出さないのかい?針がずっと10時ぴったりで止まっているけど。」
僕の部屋に遊びに来ている友が部屋の真ん中にある大きな時計を見て指を指す。
「あぁ、その時計か。それは壊れていないよ。」
友人は訳が分からない、と言うように眉をひそめる。
「じゃあ、なんでこの時計は10時を指してるんだ?なにか意味があるのか?」
相当気になるのか、友人が早口で問いかける。
「……別に深い意味は無いさ。誰だってわけも分からずやりたくなることはあるだろ?」
友人は困惑の表情を浮かべた。そりゃそうなるだろう。僕も誰かがこんな事を言っていたらそんな顔になるはずだ。
「…まぁ、そうだな。」
と、無理やり納得したような声音で言われた。
何。その変わり者を見るような目は。
…だって仕方ないじゃないか。自分でも訳が分からないのだから。
「1000年先も」
夜眠れない時に、たまに考えることがある。100年先、1000年先の地球はどうなっているか。当然、僕はもうこの世に居ないだろう。それか、人類すら存在していないかもしれない。僕の今までの短い人生の間まででも、人類は発展しているのだから、その先の未来はどんなすごい技術があるのだろう。もしかしたらひみつ道具みたいなものも実現出来ているのかもしれない。でもきっと、いい事ばかりじゃない。自然は今もどんどん無くなっている。人の争いだってある。
……でも、本質は大体今と変わらないんじゃないかって毎回同じ答えにたどり着いて、いつの間にか眠ってしまっているんだ。