「センチメンタル・ジャーニー」
例え足跡が風に消されてしまっても
後ろを振り向けば
もうスタートが見えないほどの遠くに来ている。
何故歩き始めたのか、何故歩いているのか
戻らなければ分からない。
その理由を聞かれても
気づいたらこうしていたからとしか。
見えないスタートに戻るなんてなんて億劫。
後ろ向きに歩いたら転んじゃうかも。
途中道から外れ池に落ちてしまっても
それはそれで貴方だけの道のり。
【#181】
「空白」
不協和音があるからこそ
綺麗な重音が更に引き立ち、
ミステリアスな何かを感じることができ、
曲名よりもっと深くへ
私たちを引き込んでくれるような。
完璧なだけの何かではなく、
時折人間らしい崩れが親近感を覚えるような。
【#180】
「ひとりきり」
あの日一目見たあの子の姿に
宵、酔い、ヨイヨイ
あの日の曖昧な花火大会の記憶に
靡く髪ひとつ落として
花火の花弁と一緒に
散って血で地に
赤い薔薇を開かせた
指で赤い薔薇を撫でて僕は
そっと自分の舌をなぞった
【#179】
「仲間になれなくて」
夜空に白く輝く電球が
あの大きいお月様に見えるのです。
嗚呼、
こんなにも近くにいたのだと、
やっと触れることができたと、
喜び舞い上がり集るのです。
【#178】
「もう一歩だけ、」
そこら辺の切り株の上に腰を下ろして本を開いた。
その切り株に生えていたキノコから芋虫が這い出た。
芋虫は少年の体を登って頬に触れた。
少年は芋虫を気付かずおにぎりと一緒に喉を通した。
米と一緒に食道を通り、跡形もなく消化された。
必要な養分だけ吸い取られ、残りは捨てられた。
僕と君がご対面したのは白い便器の中と外だった。
茶色い塊になった君は酷い臭いを発していた。
心做しか君が微笑んだ…って意味の無い妄想をした。
生憎僕は正義なんて信じていないもんで、
躊躇なく[大]と書いてあるボタンを押して見送った。
【#177】