「傘の中の秘密」
私の傘は透明なビニール傘。
雨が降り、沢山の者がこの上に落とされる。
私には内側から君たちの道筋が、
はっきりと見えるのだよ。
一人一人生まれ落ちる場所が違い、
大きさも形も十人十色。
途中から別れる者、出会う者があり、
全く同じ道を辿るものはいない。
だが最終的に君たちは、どこへ行くだろうか?
そう、地面の上だ。
どんなに頑張って道を進もうが、
自由気ままにまだらな道を進もうが、
私にとってさほど違いはなく、
ただ靴の裏の下敷きになるだけ。
結局は同じなのだよ、人生など。
ならば、そんなに頑張る必要があると思うか?
【#150】
「雨上がり」
お葬式。俺の、愛する人のお葬式。
周り、みんな泣いてて、でも俺は涙一つ出ない。
感情が、無だった。何も感じなかった。
嬉しくもないけど悲しくもない、そんな感じ。
帰り道、みんながわざと明るい話をした。
暗い雰囲気を明るくしたかったんだろうね。
笑ってるけど、目は赤くて、どこか悲しそう。
俺はそんな空気の中、黙り続けた。
何も感じないのに、何故か心の奥深くがさ、
なんかもやもやするんだよ、分かんねぇけど。
晴れでも雨でもない、曇りみたいな。
実感出来てねぇのかな、もう彼奴がいないんだって。
こんなの夢だって信じてんのかな。
はぁ、素直に悲しめなくて、
現実逃避してる俺、うぜぇ。
【#149】
「渡り鳥」
土砂降りのように強く、辛く、
でも、夕立のように一瞬だった気もする。
僕らはその時を超え、
この地に辿り着いたのだ。
雨が晴れ、虹がかかった。
隠れていた青空も顔を出した。
肩に重くのしかかっていた荷物を
一気に下ろしたような感覚。
無駄に美しく見える世界。
よし、無事達成だね。
今日も生きてここにいる。
僕らの目標はそれだけだ。
【#148】
「これで最後」
ずっとお外にいたい。
美味しいご飯も、優しいお友達も、
僕が体験したいの。
もう君には頼らないよ。
運動苦手でも、笑うの苦手でも、
僕頑張るからさ、
僕は君になりたい。
ね、駄目かな。
【#147】
「歌」
貴方はあまりに可愛すぎた。
だから欠点をあげるんだよ。
モテすぎちゃうと困るから、
神様は試行錯誤してそれで、
今の貴方を、作ったんだよ。
【#146】