ところにより晴れ
閉め切った二重窓は分厚く
重い色に堕ちたカーテンで隙間なく光を遮る
日光を嫌うように
時計も置かぬ部屋の壁紙に広がるのは
いつか描いた色褪せた夢
カーテンを一枚脇に開けば
差し込む光はとうに弱々しい
なぜ、威厳を保っていられるのか分からないほど霞む
朝方交わる人すらも空を見上げないのに
次期の晴れ間が見えたら
覚えた笑顔の芽をこんなにも愛おしく育ててくれる
平穏な日常
何かに高値な
それでいて意地悪しい価値をつける。
『もうすぐ春が来る』
そう笑顔で駆け出して
まだ冬空のもと
肌触れる想風はとても冷たい
出会って何年、あの日見た笑顔とは変わらない
あぁ、これは僕が惚れた笑顔だって
今でも惚れ直すだろう笑顔を愛す
愛の形をもつ紅色を
沢山集めて いつか枯葉で散りゆくまで
僕のフォルムは全て君で
散った後の風景は
ずっとその地に溶けていく
君の奏でる音楽
何も名を与えられず
誰もがいつも通りの夜を迎える
邪魔ひとつない月明かりが照らし出した海辺
儚く消え失せそうな少女の姿があった
誰に何を伝えたい唄なのか
誰かに何かを訴えたい嘆きなのか
どちらにせよ
口は微笑み、頬には涙の乾いた跡が
瞳は曇りを隠すための美しい風景が水に浮かんでいた
彼女の音楽が
彼女の心を表現してくれますように
彼女の想うあの人を救ってくれますように
届かぬ想い
蝉声響く林の傍
地面へ強く打ちつく光の影
石に1点ずつ刻まれた祖先、友人の名前
上から水をかけ、汚れを落とす
全ての愛すべき軌跡
1人1人が死という運命に従った英雄
小さな子や、真夜中のその場所
近づく人はほぼ居ないが
人になって気づくだろう
ただ1つ、この未来に溢れる全ての想いを
それが繋がる大切な場所と
神様へ
何億年前
黒い空間にふとして塗りたくった
他のものには似つかない青い球体
『貴殿はきっと飽きられたのでしょう。
単色が広がる大地に、
貴殿が何億年も考えてくださったおかげで
この世界は今、綺麗で、切なくて、汚いです。
でも不思議ですよね
強くても、弱くても、生きると願うんです。
涙の味を味わうことが1番多いはずなのに。
貴殿がいつこの世界に区切りをつけるのかは
貴殿の気分次第でしょう。
でもきっと、その日は誰もが笑って
''愛してる''と言葉を忘れぬように。』