蜜鶴

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1/15/2025, 2:44:08 PM

あなたのもとへ

すっかり寒くなった
風の吹かない夕方の暗黙が
妙に心地よかった
今日もあなたのことを思い出す
人生のなかじゃ短いあの時が
ふと戻ってくる気がしていた

音信不通に安心を覚える
今逢ったら多分気づかない
あなたの横を過ぎ去って
どこまでも遠くに行く気がする
灯台下は暗いことに
目もくれずに走っていく

12/3/2024, 2:37:08 PM

東京行きの最終便
この人の両親の転勤らしい
今目の前には泣きそうな顔の愛しい人
手を取って下手に笑ってみせる

連絡がつかなくても
声は聞こえなくても
あなたの住所がわからなくても
思い出して泣いちゃっても

いつか必ず逢えるから
震える唇から紡ぎ出す言葉は
さよならじゃなくて
また会える日まで元気でね

11/29/2024, 2:05:04 PM

冬のはじまり

雪の結晶って同じ形がないらしい
手に触れただけで溶けてしまうのに
なんだか人よりロマンチストだよね
こんなに脆いのに
ちゃんと自然の奇跡なんだって思い知らされる

乾いた空気が肌を撫でる
ハンドクリーム手放せない季節
こたつ1つに大掃除して
冬仕様になった部屋で動けなくなる
これが私の冬のはじまり

11/28/2024, 2:31:37 PM

終わらせないで

上のちょっと出っ張ったところ
風が気持ちいいんだってさ
足先を揺らしながら目先だけは上を向く

シャボン玉が安いように
ヘリウムガスが七変化するように
口いっぱいに広がる渋茶の後味

わざわざ価値をつけるなら
古い紙幣1枚の半分くらい
使い道もないのに
なんか持っていたくなるあの不思議な気持ち

11/21/2024, 11:45:31 AM

どうすればいいの?
やりきれない気持ちは
涙の味に溶け込んだ
ろ過しきれなかった塩素が
すこし残る

こうすればいいの?
いのししみたいに怖い目で
ページを捲った
0.7mmぺん先も
ぐにゃりと曲がった

そうすればいいよ!
氷花の降る道端で
抱えたひざは赤かった
のどの奥から振り絞り
さけんだ声は明るかった

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