君の奏でる音楽
何も名を与えられず
誰もがいつも通りの夜を迎える
邪魔ひとつない月明かりが照らし出した海辺
儚く消え失せそうな少女の姿があった
誰に何を伝えたい唄なのか
誰かに何かを訴えたい嘆きなのか
どちらにせよ
口は微笑み、頬には涙の乾いた跡が
瞳は曇りを隠すための美しい風景が水に浮かんでいた
彼女の音楽が
彼女の心を表現してくれますように
彼女の想うあの人を救ってくれますように
届かぬ想い
蝉声響く林の傍
地面へ強く打ちつく光の影
石に1点ずつ刻まれた祖先、友人の名前
上から水をかけ、汚れを落とす
全ての愛すべき軌跡
1人1人が死という運命に従った英雄
小さな子や、真夜中のその場所
近づく人はほぼ居ないが
人になって気づくだろう
ただ1つ、この未来に溢れる全ての想いを
それが繋がる大切な場所と
神様へ
何億年前
黒い空間にふとして塗りたくった
他のものには似つかない青い球体
『貴殿はきっと飽きられたのでしょう。
単色が広がる大地に、
貴殿が何億年も考えてくださったおかげで
この世界は今、綺麗で、切なくて、汚いです。
でも不思議ですよね
強くても、弱くても、生きると願うんです。
涙の味を味わうことが1番多いはずなのに。
貴殿がいつこの世界に区切りをつけるのかは
貴殿の気分次第でしょう。
でもきっと、その日は誰もが笑って
''愛してる''と言葉を忘れぬように。』
夢が醒める前に
理想の夢を見てた
家族が生きていて
産まれたあったかい家も
正面の風景も当たり前かのように残っていて
明日の青さが保障された満天の星空を眺めては
木の焚べた周りでみんなでホットミルクを飲んでいる
知っている限り最初の天井の下で
目を覚まし、棚の上のカレンダーを確認すると
友達との予定で埋まっている
数年前の記憶なのか
何故かそれは異常に鮮明になっている
妹となったらしい子に
今日も声をかけられる
時切、その瞳に寂しそうな自分が映り
どこかなつかしく感じていた
もっと知りたい
社会人になってやっと落ち着いた頃
僕は友達にお酒を飲みに行かないかと誘われた
お酒の場はいつも働き詰めだった俺にとって
久しぶりだった
何もない休日に行くのも鬱だったが
信憑性のないトキメキというものを
騙されたと思って期待してみるのも面白いと思った
席に座り、食べ物を頼み、世間話をする
今はちょうど夕ご飯の時間帯で
お客の出入りも激しい
時々入ってくる美人な女性に
友達は目で追っていた
たしかにきれいだ。だけど、、、
のれんを手で押さえながら
恥ずかしそうに入ってきた1人の地味目な女性
何故か気になり意識していると
横の道を通りその時鈴の音がした
なにも接点のないはずだ
それでも勝手に身体は動き
今もこうして君を知る