【20日目】君と出会って
「スーツが似合う細マッチョが好き」
なんて言うもんだから
週3で筋トレして格闘技も始めた
「英語ができる人が好き」
なんて言うもんだから
通勤時間に英会話のテキストみながら
イヤホンで聴いている
週1で英会話教室も通い始めた
「歌がうまくてダンスが上手い人が好き」
なんて言うもんだから
毎日ボイトレとストレッチを入念にやっている
大会にエントリーもするようになった
変わった俺をどんな風に
受け止めてくれるかな
【19日目】耳を澄ますと
遠くから何か楽器の音がする
あんまり上手くないなあ
もしあのままサックス吹いてたら
今頃どんな俺になってただろう
片田舎でアマチュアバンドしながら
気楽に生きていたかな
朝起きて畑で仕事して
夕暮れまで土と戯れる
そんな人生のほうが俺は幸せだった
かもしれない
お金 名誉 歓声 ハイクラスな世界
そこにあるのは自分の人生でなく
他人が描く夢の世界
下手くそなサックスの音を
聴きながら
俺は「もしも…」の人生を
妄想する
現実逃避かもしれないけれど
今の俺には大切な時間
【18日目】二人だけの秘密
私たちのダンスは全く別物
バレエの私とストリートのあなた
今まで関わることがない
世界の人だと思っていたけど
どうやら付き合うみたいです
同じダンススクールで
前後の時間で入れ替わり
あなたは私に一目惚れしたらしい
それから毎日
入れ替わり時間より
早めにやってきては
私のバレエをずっと見つめていた
合同発表会の後に
告白されちゃいました
正直好きとかよくわかりません
だって私はバレエ一直線
でも彼は離してくれない
だからとりあえず付き合うことに
なりました
他の人にバレたらいろいろ言われる
かもしれないから
黙っておくことにしました
14歳の私とあなたの始まりの物語
【17日目】優しくしないで
わかっている
今は幸せの頂点というのを
世界に向かってしまったあなたは
もう私だけのあなたじゃない
もう少し あと少し
このままでいたいけど
その微笑みが素敵だから
「愛してる」って言う声が素敵だから
あなたが叶える夢のそばに
私はいてはいけないの
泣きそう…
【16日目】カラフル
一番ファッショニスタなあなたは
他のメンバーとは違うテイストの
衣装をいつも選んでる
あなたの太陽のように明るく
海のように優しい雰囲気と
ピッタリ似合っていたよ
そんなオシャレ番長のあなたが
今は決まりきった服に身を包み
髪も短くアクセサリーも付けず
気力と体力の世界で頑張ってる
私は知っているよ
あなたは今の外側に色味のない世界で
内側へたくさんの色を加えようと
していることを
戻ってきたらきっとね
あなたは前よりさらに明るさが増して
レインボーになっているよ