【お金より大事なもの】
―喫茶店の薫り―
「……堀川先輩って、パチとか言ったことあるんでっか?」
いつものカウンター席で女装姿の叶が尋ねる。今は客足がなく、ここには叶と堀川と、女性店員の百花がいる。
「フッ、聞きたい?叶君。僕がパチに行って全財産破産した話。あれは…春の日差しが暖かかった、」
「あ、もうええねん。」
「堀川さんって、顔だけはモテるんですけどねぇ…」
「百花ちゃんまで!?」
百花は呆れながら布巾をカウンターに置く。
「……私の出番が少なすぎます。」
「それは作者に言ってくれ。てか、叶はどうしてパチ?あ、未成年は行っちゃダメだよ!」
「は?ちゃうわ。そんなパチ経験者の堀川先輩は、パチで学んだこととかあるんかなぁー、と思うて。」
「ん〜、学んだことかぁ…」
腕を組んで考える。堀川は意外とこういうことは考えるのだ。
「パチはクソ。」
「それはやる前から頭に入れといてください。」
「それと、」
ちらり、と叶と百花を見る。2人とも不思議な顔をする。
「お金より、大事なものがある、ってことかな」
「え?なんやねん。それ」
「教えてください」
「パチに行ったらわかるよー」
「「遠慮しときます(くで)」」
堀川が笑う。
そして、思う。
お金より大事なものは、僕の大切な人。
堀川は、2人の頭を乱暴に撫でた。
「何すんだよ!」
「……セクハラ……」
「ちげーよ!」
【絆】
人は、嘘をついて人に優しくする。
人は、誰にも話せない秘密がある。
人は、上辺だけで決めつける。
だから、絆というものは、脆いんだ。
醜くて、緩くて、脆い。
すぐ簡単に解けるし、すぐ簡単に消えてしまう。
時には、結んだ絆が自分の首を絞めることさえある。
だから、今の数少ない絆を大切にしよう。
それがたとえ、上辺だけでも、利用されてるだけでも
今いる人たちに、ありがとう。
【大好きな君に】
僕は君が大好きだ。
本当に愛してる。
窓際でシャーペンを動かして、
髪を耳に掛ける。
その動作にも目を奪われて、
僕の頭は君ばっかり。
でもね、僕は知ってる。
君は他に好きな人がいる、って。
君が好きだから、分かりたくないことも、分かるんだよ。
彼のことが大好きな君に、
彼の告白のお手伝いをしてあげる。
さよなら。
僕は、はじめて純粋な恋を抱いて、
はじめてちゃんと、失恋した。
【たった一つの希望】
君の声援が唯一の希望。
地を駆けて、
もっと速く、
もっと腕を振って、
僕は、君の声援に引っ張られて、ゴールした。
【欲望】
人を幸せにしたい、
君に笑顔になってもらいたい、
これは全部欲望だ。
だから、僕の欲望、聞いてくれますか?
僕の手で、君を幸せにしたい。