【お金より大事なもの】
―喫茶店の薫り―
「……堀川先輩って、パチとか言ったことあるんでっか?」
いつものカウンター席で女装姿の叶が尋ねる。今は客足がなく、ここには叶と堀川と、女性店員の百花がいる。
「フッ、聞きたい?叶君。僕がパチに行って全財産破産した話。あれは…春の日差しが暖かかった、」
「あ、もうええねん。」
「堀川さんって、顔だけはモテるんですけどねぇ…」
「百花ちゃんまで!?」
百花は呆れながら布巾をカウンターに置く。
「……私の出番が少なすぎます。」
「それは作者に言ってくれ。てか、叶はどうしてパチ?あ、未成年は行っちゃダメだよ!」
「は?ちゃうわ。そんなパチ経験者の堀川先輩は、パチで学んだこととかあるんかなぁー、と思うて。」
「ん〜、学んだことかぁ…」
腕を組んで考える。堀川は意外とこういうことは考えるのだ。
「パチはクソ。」
「それはやる前から頭に入れといてください。」
「それと、」
ちらり、と叶と百花を見る。2人とも不思議な顔をする。
「お金より、大事なものがある、ってことかな」
「え?なんやねん。それ」
「教えてください」
「パチに行ったらわかるよー」
「「遠慮しときます(くで)」」
堀川が笑う。
そして、思う。
お金より大事なものは、僕の大切な人。
堀川は、2人の頭を乱暴に撫でた。
「何すんだよ!」
「……セクハラ……」
「ちげーよ!」
3/8/2026, 10:16:47 PM