おぼろげ

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2/21/2026, 6:50:39 AM

【同情】
―喫茶店の薫り―
「男子会しようぜ〜!賛成の奴手ぇ挙げて!」
声を発したのは無論、榎本だ。そして、案の定誰一人として手を挙げない。
「瀧君〜!手挙げようよ〜」
「嫌だ。面倒くさい。それより期末テストの勉強しろよ」
どこの高校行ってるのか知らないが、瀧の方が頭がいいことは確かだ。けれど、学校には行っていないらしい。昔色々あったのだろう。
「じゃあ、八木さん!堀川さん!勉強教えて…」
「あ〜、俺大学から色々書かなきゃいけないものがあったんだぁ!」
「俺、ちょっと今人生について考えてるから、忙しい。」
「八木さん、大学行ってないでしょ。堀川さんは悩みが膨大すぎる」
すかさず瀧がツッコむ。何故ここにはまともな奴がいないのか、と呆れる。
いや、でももう一人いたな、と考えていると、軽快な鐘の音と共に誰かが入ってきた。
「こんにちは〜。あんたら、何しとん?」
こってりな関西弁で入ってきたのは喫茶店の店員の一人、叶だ。
叶は見た目こそ、バリバリの女の子だが、中身の性別は男。女装が趣味の関西人だ。年齢は瀧や榎本より高く、八木や堀川より低い。百花と同じ年齢だそう。
「聞いてよ〜!叶ぅ!」
「えのき、どうしたんかいな?場合によってはぶっ飛ばすけど、一応話は聞くで」
「皆が冷たい〜」
「なるほどな。そら、えのきが悪いわ。」
「えのき言うな!てか、同情せい!」
叶は榎本に興味を失ったらしく、瀧に目を向けた。
「おぉ~、瀧君、偉いなぁ。そら、優しいお姉さんが教えてあげるわ」
「あ、ありがとうございます。ここなんですけど…」
「え!?嘘!フル無視!?」
榎本がショックを受けていると、猫の権左右衛門ちゃんが駆け寄ってスリスリしてくれた。
「……お前ぇ…、いい権左右衛門だな……」
猫に同情されている榎本なのだった。
今日も喫茶店には優しい色に染まっている。

2/19/2026, 11:30:39 AM

【枯葉】
枯葉をひらがなにすると、かれは、になる。
どこかで見たことのある平仮名の集合だな、と思った方は、さては僕の別名と出会ったことがありますね?
僕はよく【かれは】と名乗りますが何故かれはなの?と聞かれたことは1回もありませんが、僕が語りたいので語ります。
僕は小説が好きで、学校では本を影で読んでいるようなぼっちなんです。
そんな僕も少しは承認欲求を満たしたいんですよ。
小説投稿サイトで小説を投稿しては少しだけ有名になって浮かれて、でも学校では陰キャで頼み事は断れないひ弱な性格なんです。
それで、ふと気付いたんですよね。
こんな僕が、ネットの世界では超有名人だったら、皆僕のこと見直すんじゃね、と。
なので、今後世界に名を轟かせる者として名前を考えたワケですよ。
つまり、絶賛厨二病なんです。
そこで、小説の一文に目を向けました。
「彼は○○○……」
待って、【彼は】って、【かれは】【枯葉】……??
なんかいいな。と思い、ネット界に名を轟かせるのはかれは、になりました。
なんだこの誕生秘話。

2/18/2026, 8:41:36 AM

【お気に入り】※長文注意
―喫茶店の薫り―
「マスター、いつもの」
「………は?くたばれ」
榎本がカウンター席に座り、格好をつける。
それに答えたのは堀川京だ。名前は京と書いて、みさと、と読むと教えたがそんなことは榎本の頭にもうない。
「てか、今日は俺等が皿洗い当番だろ?さっさと終わらせるよ」
「だから、マスターいつもの、って言ったんだよ」
「あっそ。皿洗いしよっかー。」
今は客足がない。というか、もう夜だ。でも、夜になるにつれ、喫茶店には沢山人がやってくる。
「ねね、俺、1回位言ってみたいんだよね。マスター、いつもの。って言ってお気に入りの飲み物が出てくるやつ!」
「どうでもいい。」
京はいつもはボケ担当だが、二人きりだと榎本が馬鹿すぎてツッコミ担当に必然的になってしまう。
「てか、飲み物出すって…亮に頼めよ。」
「八木さん?八木さんは忙しいでしょ。」
「俺も忙しいわ。」
「堀川さんは暇だろ」
「よーし。分かった。明日の朝日は拝めないと思え」
榎本はカウンター席の高さのある椅子から飛び降りる。ようやく皿洗いする気になったらしい。
「えー、でも、なんか出してよ〜」
「亮に頼め」
「堀川さんの料理食べたい〜」
「ルイボスティー位しか淹れられないよ?」
「じゃあ、レイルボスティーってやつで」
「ルイボスティーな」
俺は手際よくルイボスティーの準備をはじめる。隠し味の蜂蜜も入れて、レモンも少し……あぁ、いつも、こうやって麗奈に……
「できたよ」
カウンター席に座っている榎本にルイボスティーを置く。榎本は自分でかっこいいと思っているのか、地味に低い声でありがとうマスター、と言った。
「う〜ん。あんま好きじゃない味。」
「だったら飲むな」
「でも、」
榎本は榎本らしい満面の笑顔をして、はっきりと言った。
「優しい味がする。これ、八木さんには出せないよ。俺のお気に入りだね。」
こんなことを言う子だったっけ。俺は、少しドキリとして、照れ隠しで八木さんの話にした。
「八木さんには敵わないって。」
「じゃあ、マスターいつもの、って言ったらこれ出してよね」
「もうやらない。」
「何飲んでるんですか。私にもそれください」
いつの間にか百花が喫茶店に来ていた。
今日も、喫茶店には賑やかな声で溢れている。

2/16/2026, 10:09:49 PM

【誰よりも】
誰よりも、優しくて、美しくて、綺麗な人。
それは、君。
誰よりも、君のことをわかってたのは僕。
だったはずだった。
君の首を絞めていたのは、
誰でもない、僕だったんだね

2/15/2026, 10:18:45 PM

【10年後の私から届いた手紙】
10年後の手紙を、小学生の時に書いたんだけど、
その手紙、まだ開けていない。というか、その手紙の在り方も分からない。先生に預けて……どこに先生はやったのだろう。
もう、とっくのとうに10年なんて経っている。
僕の知らないところで同窓会とかあったのだろうか。
先生のただの気まぐれだったのだろうか。
どこかのお便りに載っていたのだろうか。
はたまた、まだ先なのだろうか。

このお題で小学生の頃の10年後の手紙を思い出しました。……結局、手紙は今も届かないです。
まあ、その当時に書いた時の下書きがあるから、いつでも見れるんですけどね。
え?KY(空気読めない)だって?知るか。だって、小学生の自分が「別に、どうせ先生の気まぐれだから、もう見ることなんてないだろ」と思って、せっかく書いたのだから、下書きは、卒業アルバムに挟んであります。とんだクソガキですね。
じゃあ、ちょっとした返事を書いておきます。

10年(+何年か)前の自分へ
まだ手紙届いてません。同窓会の情報は早めに受け取ってください。
あと、下書きは取っておかないでね。楽しみがなくなるよ。
10年(+何年か)後の自分より

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