「ねえ、何色が好き?」
「僕?ピンク」
ジェンダーレスとよく言ったもので
昭和なら何となく男らしくないとか
そんな下らないイメージで
ピンクと言うのははばかられたものだ
そんなことを考えながら
横にいるカップルの会話に耳をそばだてていたら
「推し色なんだー」
押し色?なんだそれ
早速スマホで検索してみる
なんとアイドルなんかがそれぞれのテーマカラーをつけていて
好きなアイドルの色を身につけることとある
推しの色か……
好きな色が
自分のパーソナルカラーでも
ベースカラーでもなく
好きな人の色
ペンライトの色ならともかく、
身につけるとか考えたこともなかった
なるほど
なるほどなるほど
なるほどな……
俺はそっと
推してるアイドル玉さんの黄色をレジに持って行った
あなたがいるから私は優しくなれる
あなたがいたから私は…………
私は他人に優しくない
滅多なことでは怒らないから
優しいのだと勘違いされるけど
それは他人に興味がないから
だから腹もたたないだけ
でもあなたは私にとって他人じゃない
あなたには嫌われたくない
だから
あなたがいたから
私は「優しく」なれるんです
……居てくれないと困るんです
夕方公園に集まって花火
最初にやるのは決まってる
落下傘花火
ひゅーっと音を立て打ち上げられた花火が割れ
バラシュートがゆらゆらと落ちてくる
子どもの頃上だけを見て必死に追いかけた
あれを掴めば、今日この公園のヌシは僕だ
最後のロケット花火だって
点火させて貰える
首が痛くなるほど上を向いて追いかけたけど
パラシュートはお隣さんちの
柿の木によろよろとひっかかる
ロケット花火点火の栄誉は
来年までお預けになった
誰も未来なんて予想できない
なのに、みんなが俺たちを占い師かなにかと勘違いしてくる
俺は気象予報士なだけで
決して予言者じゃないんだ
科学的にデータを集めて天気図を読み解く
今までの統計がものを言う仕事だ
だから昨今の温暖化や
急激な熱帯低気圧
線状降水帯など
発生状況のメカニズムのデータが
揃ってない現象は予測出来ないことがある
なのに
日々の予報が外れただけで大ブーイング
テレビの天気予報なんて
5分尺がニュースに押されて短縮当たり前なのに
その貴重な数十秒を
「謝罪」に使えと苦情がくる
ある時、傘を持って出たのき晴れてたというクレームがきた
いいじゃないか、晴れてたなら
俺は未来を予知してるんじゃない
少しでも災害に対する心構えが出来るように
日々研究してるんだ
だからあえて言おう
「降水確率30%のときは傘を持って出ろ」
あとキャンプの前日に
俺にメールしてくんのやめろ……
秒、分、時間、
日、曜日、月、年
時間の単位で一番長いのは年だね
だから一年だけ一緒に住んでみないか?
1年前そう約束して住み始めたはずだった
なのに……
猫を拾うのは反則じゃないか?
たぶんこの先10年以上の約束になりそうだ