スペリオル

Open App
5/29/2024, 6:41:41 AM

6月になった
制服が夏服になる

僕の気になるあの子は
制服の上からジャージを羽織っていた

次の日
カーディガンを羽織っていた

ある日曜日、本屋で見かけた彼女は
左腕だけアームカバーをしていた


いろいろな憶測がとんだ
リスカの跡があるらしい
刺青が消えないらしい
異世界召喚の聖紋があるらしい
はたまた人面疽……

無口な彼女からは本当のことをまだ聞けていない


(仕事前に書くのやもようよ、私、最後思いつかないやん)

半袖

5/28/2024, 6:43:16 AM

ぼんやりと靄のかかった空間に
人のような影が並んでいる

人気店の行列だっけ……?
そんな景色同様ぼんやりと
何も考えずに並んでいた

自分の番になってみると
先頭にはやはり
ファミレスにあるようなウェイティングボードがあり
タッチパネルで行き先を指定するようになっていた

とはいえ普通なら禁煙席/喫煙席
大人〇人
カウンター/テーブル席
などタッチするところ
そういう選択はなく
シンプルに

天国/地獄

となっていた

審判の門も随分電子化が進んだものだ

……て

ん?
選べるの?
天国と地獄ってそういうもんだっけ?

恐る恐る天国を押してみると普通に選ぶことが出来た
但し289213番という順番待ちと共に

係の人がおずおずと言う

「あのー、地獄ならすぐ行けるんですけど
だめですか?」

いや、そんな
カウンターか相席でもいいですかーなテンションできく話題か?

話を聞くと、どうやら、人を殺したりしない限り選べるらしい
時代も平和になって
そうそう人殺しもなく、あっても情状酌量などの制度もあって天国が満員なのだとか
その地獄も、現世で聞くような
釜茹でや針の山はなく、
むしろ現代の人間界に近いらしい

「現世の地獄教育が酷いのか誰も選んでくれなくて」

いや、あなたのプレゼンも相当悪い
ならば、と
待ち時間の間手伝うことにした
こう見えて、現世では営業マンだったのだ

まさかの、死後再就職である



天国と地獄

5/27/2024, 6:19:37 AM

私は都内の会社に就職がきまり、彼は地元で専門学校に行くことにした。
遠距離恋愛なんてする柄じゃない。

燃えるような恋愛じゃなかった。
サークルでなんとなく、お互い虫除けのような関係で付き合ってた。
それが解消し、友人に戻る
建設的な別れだ。

都会へ立つ前に彼は
「君の成功を月に願っておくよ」と言った

月は不実なもの、満ち欠けを繰り返す移り気な心とジュリエットは言ったんじゃなかった?
普通は星に願うんじゃない?

と、思わず可愛くない答えをしてしまった

彼は苦笑しながら
「さすが
こんな暇つぶしみたいな演劇サークルで硬派にシェイクスピア研究をしてただけあるね」

愛を誓うわけじゃないからね。
あまり星も見えない都会に行く君に、同じ月を眺めて元気を祈ろうかと。

そう言われてなるほど、と納得しつつ
どこか自分が悲劇のヒロインよろしく

別れに酔っていたのだと気づいた


§月に願いを

5/26/2024, 9:25:58 AM

雨の音が好き
ざぁざぁ降っているのも
しとしと降っているのも
ぽつぽつ降るのも
バケツをひっくり返したようなのも

窓際に座り
ミルクティーとカルメ焼きを片手に
雨の音を聞くのが好き

静寂では無いはずなのに
雨の音以外何も聞こえない
静寂

でも降り止まない雨はない
やがて降っていた雨は
湿った風と共に
本当の静寂を連れてくる

雨上がりの蝉の声を耳にして
季節が梅雨から夏になったなと
肌で感じた

5/25/2024, 7:45:57 AM

あの頃の私へ

といっていつの頃の私へ届いているか分からないけど
この、過去へ手紙を送ることが出来るAIサービスを信用するなら
何かしらのメールで届いているのでしょう

時間を遡るのは無理としても
AIが診断して未来の自分が書くであろうことを送ってくれるらしいので
すごい時代になったものだと感心しています

と、この文章すらも
AI診断の自分なのだから
私ならたぶん苦笑しながら読んでいるのでしょうね

さてここからが本題
未来の私からあなたへ届けたいメッセージなのですが

実は
ありません

だって、今、あなたが起こす行動で
未来の私に変化があると困るからです

あなたの積み重ねが
私に繋がっている

私の周りの人間関係
私の周りの仕事
私の生活
全て
特に過去に修正を施したいものがないのです

もちろん順風満帆とはいえないし
出来たら仕事だってもっと欲しい
過去の努力で寄り良い状況もあるかもしれない
でも
私は努力しなかったわけではない
それは私が一番知ってる

だから、あなたはそのままでいい

満足してる訳では無いけど
過去の私に不満はないのです

どうか
そのままのあなたでいてください

Next