スペリオル

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私は都内の会社に就職がきまり、彼は地元で専門学校に行くことにした。
遠距離恋愛なんてする柄じゃない。

燃えるような恋愛じゃなかった。
サークルでなんとなく、お互い虫除けのような関係で付き合ってた。
それが解消し、友人に戻る
建設的な別れだ。

都会へ立つ前に彼は
「君の成功を月に願っておくよ」と言った

月は不実なもの、満ち欠けを繰り返す移り気な心とジュリエットは言ったんじゃなかった?
普通は星に願うんじゃない?

と、思わず可愛くない答えをしてしまった

彼は苦笑しながら
「さすが
こんな暇つぶしみたいな演劇サークルで硬派にシェイクスピア研究をしてただけあるね」

愛を誓うわけじゃないからね。
あまり星も見えない都会に行く君に、同じ月を眺めて元気を祈ろうかと。

そう言われてなるほど、と納得しつつ
どこか自分が悲劇のヒロインよろしく

別れに酔っていたのだと気づいた


§月に願いを

5/27/2024, 6:19:37 AM