あなたの心に
有限の小さな光を灯す
今だけは夢を見ていられる
11.19 キャンドル
たくさんの想い出が詰まった母校。
人気のない校舎と割れた硝子窓、寂れた遊具、伸びきった草木。
それでも駆け回る生徒たちの姿が、今でも私の目にありありと浮かぶ。
この校舎は明日から取り壊される。
何物にも代えがたい想い出を、脳裏に刻む。
11.18 たくさんの想い出
冬になったら、
きっとあなたはあの空の上へ飛び立ってしまうから
私はこの笑顔を脳裏に焼き付けて
涙をこらえて今は笑うの
11.17 冬になったら
離れ離れになっても、君を好きでいる。
あなたがこう言ってくれたから、私は今日まで待つことができたの。
だけど、久しぶりに会ったあなたは、好みの違う服に身を包んで、知らない匂いをさせていた。
今目の前にいる私に、目も合わせようとしない。
あなたの目には、私が映っていなかった。
私たちは終わったのね。
そう悟って、息を吸った。
彼から放たれる次の言葉が、心底怖かったから、
私から言うの。
「別れよう」
11.16 はなればなれ
路地裏に捨てられていた、子猫を拾った。
丸くてキラキラした目をした、純粋無垢な子だった。僕はその子を連れ帰って、綺麗にしてあげた。幸い怪我も病気も無いようで安心した。僕はその子を飼うことにした。名前は、マリ。そう名付けた。首輪をつけて、檻に繋いだ。マリはすくすくと成長した。それと同時に、僕にとても懐いてくれた。僕はマリと四六時中一緒にいた。身の回りの世話は全てやってあげて、ここにいたらマリは何もしなくていいんだと教えた。それと、マリには特別な教育をした。ある日、マリにお家に帰りたいかと聞いた。マリは黙って首を横に振った。かつてキラキラしていた目は、虚ろに僕だけを写していた。マリは僕に心酔していた。だから、僕らは結婚した。いつまでも愛しているよ、マリ。
11.15 子猫