ウサギ

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10/28/2023, 2:30:20 PM


声を押し殺して泣く

誰も気づかない場所で


大丈夫

涙くらい拭ける

弱音くらい飲み込める

どんな感情も暗く塗りつぶしてしまえばいい




だけどほんの少しだけ本音を言えるなら





私を見つけて








“暗がりの中で”

10/27/2023, 5:05:20 PM

跳ねるように揺れて

舞うように色づく

ゆらめきながら注がれ

芳醇な湯気が全てを満たす

味わわずして虜となる







“紅茶の香り”

10/26/2023, 3:14:44 PM



花には花言葉

人間には愛言葉


私の愛言葉はなんだろう

紫陽花と同じだと素敵だな


冷たさも悲しさも

裏切りも涙も

純白のベールのように纏って咲いていたい






“愛言葉”

10/25/2023, 3:48:00 PM




大声で笑い合った理由も思い出せないけれど 
死ぬまで宝箱にしまっておくの





“友達”

10/24/2023, 11:10:22 AM


 夕飯は何にしようかなとスマホを触りながら考える。明日は土曜日だ。一日中ダラダラしたい。

「よし。カレーにしよう。」
 誰もいない部屋で、まるで自分に言い聞かせるように呟く。そうしないとなかなか動けない。材料があることを確認し、ジャガイモと玉ねぎの皮を剥き始める。

 無心で準備をしていると、頭の片隅でずいぶん前に付き合っていた男性のことを思い出した。あの人はカレーが大好きだった。
「野菜は、大きめに切ると美味いんだ。特に人参は大きく、目立つように切ると見栄えがする。」
 自分のカレーに対するこだわりを得意気に話していた。

 私はあの自信満々で、少し子どもっぽい笑顔のあの人が大好きだった。どうして別れることになったのだろうか。そんな事を考えながらルーを入れて良い香りがしてきた鍋をかき混ぜる。

「いただきます」
 炊きたてのご飯にできたてのカレーは相性抜群だ。見た目もなんとも食欲をそそる。
 そこでふと思い出す。私の作るカレーには人参は入っていない。野菜は玉ねぎとジャガイモだけ。



 そうだった。人参は嫌いだとあの人には言えなかったのだ。そんな簡単なことも伝えられなかった。

「そばにいて欲しい。行かないで。」
 そんな難しすぎる本音、言えるはずがなかった。







“行かないで”

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