10/23/2023, 1:15:16 PM
どこまでも続く青い空なんて最初に言い出したのは誰なのだろうか。そんなものは存在しないのに。
世界には同じ瞬間に青い空だけでなく白い空や黒い空、赤い空なども存在する。私が知らないところで知らない空が広がっている。だから空は心を揺さぶるのだろう。
「もう行くの。」
名残惜しそうに聞こえてしまうだろうか。
「明日は早いから。」
こんなときでも彼はそっけなく返す。彼は明日、戦地に赴く。これから家族に最期の挨拶をしに帰るのだ。
「そう。気をつけてね。」
これが最期の会話だった。
今となってはあれが正解だったと思う。家族でも恋仲でもなかった私達はあれ以上何も言うべきではなかった。彼が最期に会いに来てくれた。それが答えだ。
あの瞬間、全てが溢れ出してしまっていれば未来には悲劇しか生まれなかっただろう。
ただ、彼が最期に見た空が何色だったとしても、どうしようもなく美しかったことだけを願う。
“どこまでも続く青い空”
10/22/2023, 11:43:59 AM
真っ暗な部屋に閉じ込められて、どれくらいの時間が経ったのだろうか。数時間だった気もするし、数日、数週間、はたまた数ヶ月、それ以上だったかもしれない。私にはわからない。
ただ言いようもなく寂しかったことだけはわかる。まるでお前なんて必要ないのだと言わんばかりに、長く見向きもされなかったからだ。あの人は私の存在なんて忘れているのかもしれない。
だけど、私は知っている。もうすぐあの人が私を思い出すことを。この真っ暗な部屋から開放され、あの人の目の前に引っぱり出されることを。
そしてあの人はこんな風に言う。
「寒くなってきたし、そろそろ衣替えかあ」
やっと私の出番だ。
“衣替え”