「これではもう、無理ですね。」
決め付けられた。悔しかった。嫌で仕方なかった。
まだやれる、やれるのに。
どうして諦めるんだよ。
「本人にもやる気が見られないようですし、志望校を下げた方がいいかと。」
「先週の宿題も未提出、授業も遅刻が多く、成績もE判定から向上が見られません。挫折するのは時間の問題かと。」
痛いところを突かれた。でも、僕の夢はまだ終わってない。
だから、ここにいる限り、また何度でもやり直せる。
そうすれは、いつかはきっと。
「どうですか、親御さん。」
「先生のおっしゃる通りなのはわかっています。でも、それでも、最後はたっちゃんの好きなようにやらせてあげたいんです。」
「ここまで、親御さんが応援してくれてるんだ。なんとか言ったらどうだ、達也。」
「……まだ、やめたくないです。」
「でも、そのうちすぐ投げ出すんだろ。目を逸らして逃げ出すんだろ。めんどくさいし、まだ時間はあるから、って。いいか、ここは今お前の人生のターニングポイントなんだ。今からでもいい、ちゃんと自分の頭で考えろ。みんなお前のことを本気で想って言ってるんだ。自分と向き合うんだ。」
……そんなこと言ったって、どうせ内心では僕のこと金ヅルとしか思ってないくせに。
「お前が本気で頑張りたい、やり直したいって言うんだら、先生また1から一緒にやり直してあげるから。」
「じゃあ、、やります。」
これでいいんだろ。
「本当にやりたいんだな?」
先生は、やけに熱のこもった目で僕の体を貫いてくる。それに、反比例するようにして、思考が、段々と冷めてゆく。
「はい。」
「わかった、じゃあ、先生も頑張るから。明日から自習室こいよ。」
そう言い残すと、先生は、僕のお母さんと来年の塾のプランについて話し始めた。
なんだか、皆が受験という戦争地帯に戦っている中、ひとり取り残されたようだった。
……
そんなこんなで、面談が終わり、母の車に乗り込む。
長い、長い話し合いが終わった。散々な1日だったな。
なんだか今日は体がだるいなあ、とりあえず家に帰って寝よう。
「人を好きになる」という段階の前に、
「この人なら、付き合ってもいい」があって、
その次に、「自分は本当にこの人が好きなのか?」が
くるような気がする。
なんだか、自分自身が、特定の誰かを好きであろうとする自己暗示をかけられているようで、いい気分じゃない。もやもやする。
でも、誰かを本気で好きになるという愛は、
そういった、自己暗示から抜け出して、
理屈のない世界で誰かに恋しているいるような……。
それが、「恋」と「愛」の違いだったりして。
調べてみたら、微熱の体温の定義というのは、明確に定まっていないらしい。
ただ、一般的には、37.5℃を発熱、38℃を高熱としているそうだ。ちなみに、日本人の平均体温は、 36.89℃だそうで。
(ソースは不確かです。)
そりゃそうか、人によって平熱は違うのだから微熱が何度かなんて決めようがない。
僕の友達にも、平熱が37℃の子がいたっけ。
では、動物の平熱はどうなんだろう。
犬や猫は、38から39℃、鳥に至っては40から42℃だそうだ。
(ソースは不確かです2nd)
つまり、ここから導き出される結論は一つ、
休みたい時は、自分ちのペット様に協力をお願いしよう。
……快く脇を貸していただけるか、じっとしててもらえるかは別問題だけど。
自分の周りに、自分よりも熱意があって、自分よりも頭が良くて、自分より運動ができて、自分より友達に好かれている。
そんな人いませんか?
まるで、太陽のように、その人の周りだけが、楽しそうで明るいなんてことありませんか?
僕たち凡人は、その輝きに焼かれて、嫉妬に身を焦がしてしまったり、自分はなんでダメ人間なんだと、自分を卑下してうちのめされてしまったりすることがあります。
現実に、そんな完璧な奴なんていないと言われているけれど、僕はこういう人間と、中学生の頃、親友でした。
そいつの凄さを語るなら、ものの15分はかかるだろうという具合に、持つものすべてに才が光っていた彼です。
だけど、彼にしかない悩みを抱えていたようでもありました。
それは、彼の家族が、親から曽祖父に至るまで、男はほぼ全員禿げているということでした。
くだらない悩みじゃないかと思うかもしれませんが、当時、思春期だった彼においては、まさに死活問題であったのです。
彼は、毎日のように髪をセットして、家では5000円もするリンスを使っていたようです。
当時のお小遣いでは相当痛かったでしょうに……。
とまあ、彼は彼なりに、結構大変な人生を送っています。
太陽も太陽で割とめんどくさいのかもしれない、そんなことを考えながら、イカロスの翼が折れないように、低空飛行で生きる、そんな日々です。
今、時刻は午前3時を回った。
明日(既に今日)から、いよいよテストだ。
徹夜を覚悟に入れつつ、今日も祖母の編んだセーターを羽織って、勉強に励む。
陰で、一番僕の努力を見てきてくれたのは、祖母だ。
祖母は毎日3時に起きる。
そうすると、部屋で、勉強中の自分に出会う。
自分の部屋を訪れるたびに、お菓子を持って、
「頑張りすぎないようにね。」と声をかけてくれる。
今はただ、その気遣いが嬉しい。