僕にとってはなにもない
大事にしたいと言うことは
多分欠けているんだろうな
一人で生きてきたからかな
掃除用具入れに隠れたまま
君の誘いをやり過ごした
休み時間は廊下に出て
その空間が居場所だった
君は多分普通に会話が出来る
誰からも好かれる子どもだったろう
僕は多分何をかんがえているか
わからないおかしな子どもだったろう
それでも君は僕のことを
好きだと言ってくれたよね
でもそれからずっとこの僕は
一人のままでここまで来たよ
今は君に会えないな
だけど君に会いたいな
今は君に会えないな
だけど君に会いたいな
もしもこの道がずっと続いていくのなら
何を求めて歩いていくのだろう
ススキの原野が向こうの方まで続いていて
岩がゴロゴロと転がっている
僕らはこの空間を一人で歩いていく
わかりあっているつもりでも人の心は見えない
明日に向かい歩いていくそれだけで
向き合っているようで向き合ってはいない
もしも時間が止められるなら
向き合うことも出来るのかもしれない
けれど時間は止まらないだから人は
前を向いて歩き続けなければならない
そう人はいつも孤独だ
抱きしめていても結局孤独だ
悩みも喜びも人それぞれで
共有しているようでも実は考えていることは同じじゃない
時間よ止まれ
そんなことを考えながら
僕らは前を向いて歩いていく
100万ドルの夜景という言葉があるが
私はあまり夜景は好まない
それは人類の滅亡を象徴しているように思えるから
ただ海岸から見る
漁村にちらちら灯りがいくつか固まって
ついているさまは好きかもしれない
これぐらい控えめな方が
私にとっては丁度いい
人と人との関係も少し控えめに
穏やかな関係でありたいと思う
野菊の花畑に
蜂や花虻が花から花へ
僕は夢中で写真を撮った
よく見ると可愛いんだよハナバチ
白と黄色の花が一面に
天国のように麗しく
全体を見ると向こうの方まで
笹原の中に花が彩りをあたえている
十月の空は青く透き通り
頂上へと続く土の線を照らしている
木々も疎らに影を落として
緑の中にグレーを描く
僕はいよいよ歩みを進める
青い空
笹原
野菊
木々の影
斜面は思いの外
急で厳しいが
これが味わいたくてここへ来た
ここを登れば東雨乞岳の頂になる
そして雨乞岳へ続く稜線が待っている
秋空の爽やかな
山に向かう
ワクワクするってこういうこと
赤トンボがススキに止まった
ここは昔はスキー場
キリンソウの黄色がチラホラ
眼下に広がる風景は
少しずつ遠ざかる農村の町並み
空が泣く
そんなことはないさ
こんなに晴れているのだもの
君のそばでいつか明るく笑いたい
秋空の爽やかな
山に向かう
ワクワクするってこういうこと
僕はきっと上を向いて君の方へ歩いていける