僕が大学生
京都から山陰道沿いに
大きな藁屋根の集落があった
それはとても異様な風景で
心に深く刻まれた
僕が子供の頃
自転車で坂道を下りていった先に
いつも水が溜まっている場所があって
覗き込むとミズスマシやタイコウチなんかが
たくさんいた
僕が小学校の
校庭で
逆上がりの練習をしていると
青と茶色の客車列車がディーゼル機関車に引かれて
通り過ぎていった
友達とプールの帰り道
駄菓子屋の店先で
かんとだきを買って食べながら歩いた
僕はとても日焼けして
クロンボ大会にクラス代表で出た
商店街の魚屋の
店先にドジョウが
泳いでいた
食べてみたかったけど
うちの親はそのドジョウを水槽に入れた
喪失感
そんなものはないけれど
色々な思い出がまだまだ眠っていると思う
世界に一つだけ
存在している
僕という命の軌道
レールは夕暮れ
光が射し込んで
また過去を振り返る
あの子と交差して離れていった
海のある町
国道沿いの学校へ
登っていく風景
見下ろす港に古びた屋根と
遠くに白い船が進む
はしゃぐクラスメイト
一人背中を追いかけた
今も時に戻っていく
この心あの場所へと
もう遥か彼方
帰らぬ夢の跡
生きている限り
休むことはない
太平洋の真ん中で
浮き輪でぷかぷか浮いていても
僕の胸の鼓動は
僕が生きている唯一の証
今存在しているのは
この青い空の下
地球というこの星で
広がり続けるこの世界で
僕の胸の鼓動は
僕が生きている唯一の証
やがて時が訪れて
終わりが近づいた頃に
一体何を思うだろう
全てを失うその前に
僕の胸の鼓動は
僕が生きている唯一の証
雨粒はすべてのものを
濡らしていく
まるで水の天使だ
踊るように地面を跳ねた
僕は急いで静まり返った
暗いアーケードの下へ
これからどうするか
傘がないとここから進めない
雨は通り過ぎるか
雨は降り続くか
君を忘れられるか
それともまだ続いていくか
希望の鐘が
時を告げる
朝の駅舎
電車が入る
おはようと笑う
女子高生たちに
負けていられない
そんな気持ちで
さあ行こう
僕らの世界へ
新しい素晴らしき
今日という世界へ