haru

Open App
4/25/2023, 12:31:50 PM

パッと傘が咲く。

ぼんやり水気を帯びた闇を
乾いたビニールが切り裂く


上空に綺麗な色を探すけど
空との間に分厚い水のかたまりがあって
めがねをかけてないときみたいに
ピントが合わない


ああもういいや

まとわりつく靴下と
重たいリュックを脱ぎ捨てると

傘の取っ手に力いっぱい掴まりながら
どうか助けてくださいと
どこかでともる灯りに祈る

途端に

傘が、雨を弾きながら上へ上へと昇っていく

遠ざかる地面を尻目にぼんやりしているうちに


雲を抜けて

傘が奏でる音が止んだ




「流れ星に願いを」

4/2/2023, 3:04:22 PM

とっておきの仮面を見つけた


大きな赤色の口は

両端が持ち上がっていて

目元のデフォルメされた雫や星は

おもちゃ箱みたいで

かわいらしい



大丈夫だってなあこっちからやってくれよお前ならいけるっしょ


大きな口は両端が上向きなまま

YESと動く

みんな笑顔になる


ほらねなんだかいい感じ


雨降りで輪郭が解けた雫と星

滲んでぐちゃぐちゃになった鮮やかな赤



大丈夫だってこっちからやってくれよお前ならいけるっしょ


ぐちゃぐちゃの赤は両端が上向きなまま

YESと動く

みんな笑顔になる

ほらねやっぱりいいかんじ



「大切なもの」

2/17/2023, 9:56:30 AM

誰よりも誰よりも誰よりも…

そんなことばかり考えていたら
ある日突然感情の線が凍結して感情が心まで
届かなくなった。

何かをするのにはエネルギーを使うけれど、
何もしないのにもエネルギーを使うのだ

そんなことを身にしみて感じる日々


深夜、ラジオから流れる桜の花びらに気がついた時
雪解けの証が瞳から零れた



「誰よりも」

2/9/2023, 1:11:07 PM

おはようって景気よく言えた朝には黄色


ひとり怯える夜には青色


推しの先生と話せたときには桃色


いつしか心の中にできたいろとりどりの花畑


いつかうつむいたあの子に
それらの花を束ねて贈れるといい

私のヒーローがそうしてくれたように



「花束」

2/6/2023, 5:15:13 AM

伝えたいことがたくさんあるのに
なにひとつとして言葉にできない

そんな僕だけど
精一杯紡ぐから

拙くても馬鹿げてても
照れずに
聴いてほしい



「溢れる気持ち」

Next