パッと傘が咲く。
ぼんやり水気を帯びた闇を
乾いたビニールが切り裂く
上空に綺麗な色を探すけど
空との間に分厚い水のかたまりがあって
めがねをかけてないときみたいに
ピントが合わない
ああもういいや
まとわりつく靴下と
重たいリュックを脱ぎ捨てると
傘の取っ手に力いっぱい掴まりながら
どうか助けてくださいと
どこかでともる灯りに祈る
途端に
傘が、雨を弾きながら上へ上へと昇っていく
遠ざかる地面を尻目にぼんやりしているうちに
雲を抜けて
傘が奏でる音が止んだ
「流れ星に願いを」
4/25/2023, 12:31:50 PM