8/2/2024, 3:26:21 AM
明日もし晴れたら
紺色のチャリで
文学部棟のある方の門から
始業3分前に
君はきっとやってくる
だから、
明日もし晴れたら
ぼくは
寝癖のついたアッシュブラックを
探しながら
わざわざ遠回りして
工学部棟にある二限目の講義室に
向かうことになるだろう
「明日もし晴れたら」
7/13/2024, 2:11:48 PM
くだらないプライド
大きな自尊心
抱えて走るにはあまりに重い
ラジオ体操のあと
サンダルでするかけっこ
ただひたすら夢中で
ゴールだけを求めていた
くだらないプライドも自尊心も
気にならないくらい
夢中でありたい。
「優越感、劣等感」
9/8/2023, 1:27:52 PM
肌が焦がされていく
無数の砂の粒がお日様に照らされて
運ばれていく
空気が揺れる
輪郭が熱を帯びた空気と混ざって
瞬間、せかいが低い音に包まれる
ばちが触れるたび放たれる音と心臓とが共鳴する
ああ生きてるなあ
「胸の鼓動」
9/1/2023, 4:09:04 PM
君からのことば
君の指先で飛ばされたメッセージ
冗談みたいにまっすぐな言葉だったんだろうな
受け取りたくて
何度も試してみるけど
液晶にはメッセージの内容が表示されない
圏外に来てはじめて大切さに気づく
もう遅いよなあ
君はきっと今も
あのときみたいな色彩を帯びた笑顔で
誰かの心に花を咲かせているんだろう
ありがとう大好きだったよ
「開けないLINE」
4/25/2023, 12:31:50 PM
パッと傘が咲く。
ぼんやり水気を帯びた闇を
乾いたビニールが切り裂く
上空に綺麗な色を探すけど
空との間に分厚い水のかたまりがあって
めがねをかけてないときみたいに
ピントが合わない
ああもういいや
まとわりつく靴下と
重たいリュックを脱ぎ捨てると
傘の取っ手に力いっぱい掴まりながら
どうか助けてくださいと
どこかでともる灯りに祈る
途端に
傘が、雨を弾きながら上へ上へと昇っていく
遠ざかる地面を尻目にぼんやりしているうちに
雲を抜けて
傘が奏でる音が止んだ
「流れ星に願いを」