目が覚める。
憂鬱な1日が始まる。
終わりは見えていた。
だから、終わりにした。
ただそれだけだったはずなのに、
今は何もわからなくなった。
すごくすごく好きだったから、
こんなに苦しい。
いっぱいいっぱい幸せだったから、
こんなに寂しい。
前に進みたいのに、
近くにいる君にぎゅってしてほしい。
近くにいるのに、
透明人間みたいに存在を消されているようで、
寂しい。
ここにいるよ?
もう届かない声を必死に叫びたくなる。
自分勝手で天邪鬼でどうしようもない自分を
好きでいてくれてありがとう。
さようなら。
まだ、消えないこの気持ちは
どうすればいいの?
今はただただ抱き締めている。
想い出がひとつずつ消えていくまで、
ずっとずっと大切にしたい。
好きな人がいて、
いっぱい幸せだったから。
ありがとう。
その言葉だけでも、
ちゃんと伝えられるようになりたい。
また会いましょう
07
2人きりの時間
落ち着いてくると
恥ずかしさがこみあげてきた
「ごめんね」
そういう私に何でもなかったように
礼をして去って行った
その後もドキドキがまだ収まらなくて
しばらくそこにいた
デスクに戻るとメモが1枚置いてあった
メモには
『また会いましょう』
懐かしい文字でそう書かれていた…
人生にスリルを求めたことはない。
ただ平凡な毎日を
ただただ過ごしたいと思っていた。
ずっと自分のことを後回しにして過ごしてきた。
ある時は親のため、
ある時はこどもたちのため、
ある時は仕事の同僚のため。
ある時ある歌に出会った。
「それは誰の人生か?」
その歌詞にとても心打たれた。
自分は誰の人生を生きているんだろう…。
ふと考えてしまった。
考え出したら止まらなくなった。
自分は誰の人生を生きているんだろう…。
自分の人生なら、もっと自由に生きたいと思った。
誰にも縛られることなく、誰も縛らず。
思ったら、動き出していた。
すごく迷った。
すごく怖いと思った。
でも、自分らしく生きたい。
今はただ前を向いて、
思い付いたいろんなことをやってみよう。
自分探しの旅は始まったばかり。
06
それでも毎日は過ぎていく
今日は倉庫で書類の整理
入れ換える書類を抜いていると
電気が消えた
またか…
人がいるのを確認しないで
消されることが前にもあったので
暗がりの中
出口へと向かう
その時
電気がついた
「すみません」
入ってきたのはあの子だった
安心したのか
暗がりの中で怖かったわけでもないのに
涙が出た
「すみませんでした!」
慌てて駆けよって
なだめてくれようとする
その優しさに甘えたくなった
05
しばらくは仕事に没頭することで
その子のことを考えないようにしていた
年末になると仕事が忙しくなった
いろいろ変わる書類などに追われて
遅くなることも増えた
家に帰ってるともう日が変わっていた
布団に倒れこむようにして
そのまま眠ってしまった
「行かないで…」
はっとして目を冷ますと涙が出ていた
誰かに置いていかれる夢
最近は見なかったのに
また誰かと一緒にいたいと
思っている自分がいる気がして
苦しくなった