04
あの日からその子を
目で追ってしまうことが増えた
部署は違うものの席は近い
そのせいか気がつくと眺めていた
ふと昔のことを思い出した
月1回しか会えない人に
恋していたあの日
どこまでも続く青い空
その人に続いていると信じていた
すれ違って傷つけ合うことしか
できなくなって
心の距離が離れていくのが辛かった
またあんな思いをするのか
辛かったことを思い出して
浮かれていた自分に気がついた
03
涼しくなってくると衣替えの時期もあり
スーツ姿の人が増えてくる
スーツを着るだけで
格好よく見えてしまうなぁと思っていると
目の前にその子が現れた
つい見惚れてしまって我にかえる
物の場所がわからず
聞いてきたようだった
場所を教えるために
そこまで一緒に移動する
それだけなのに何かドキドキする
「ありがとうございます」
たった一言が嬉しいと思った
02
誰にでも明るく対応するその子は
すぐに今の部署でも馴染んだようだ
そんな日々が続いていたある日
いつもは常に誰かと話しているのに
今日は大人しい
元気がないのかと思ったが
見た感じそうでもなさそうだった
いつもと違うことが気になって
すれ違った時に声をかけた
ちょっと困った顔をしてその子は答えた
「声が枯れちゃって…」
「…」
会社帰りにカラオケで
盛り上がりすぎて
声が枯れるまで叫んでいたらしい
社会人になっても
そんなはしゃげることに
ちょっと羨ましい気がした
01
始まりはいつも
何でもない日
今日から新しい人がくるらしい
他の部署からの異動
同じフロアでも別な部署だから
話すことはないだろう
朝礼の前に簡単な紹介があった
背が高い爽やかな青年
最初の印象はそれだけだった
いろんな人と出会った
すれ違うだけの人もいっぱいいた
すれ違って振り返って
しばらく一緒にいる人もいた
いろんな人と出会って
今の自分がいる
まだまだ発展途上で
のびしろしかないけど
前を向いてようと思う
だって
戻ることはできないから
それなら前を向いて
一歩でも進んでいきたい
次にすれ違う誰かに会いにいくために
もっと自分の好きな自分になる