陽葵

Open App
1/8/2024, 1:10:46 PM

#色とりどり

ピンク、緑、紫、黄色、黒、白。

各々、好きな色の晴れ着に身を包んで
新たな階段を登る。

今日は成人の日。大人の仲間入りをする日だ。

高校振りの友人、中学以来会っていなかった同級生。
メイクをして、髪を整えて、ネクタイを締めて、
学生の頃には見られなかった大人な一面に胸が高鳴る。

初めて同級生とお酒を飲み、将来について語り合う。
進学したからまだ学生ではあるけれど、友達との会話が
大人になった事を実感して笑い合う。

あれから6年。
社会人になり、思い描いていた将来とは少し違う
日常を送っている。
友達との会話は仕事の愚痴、将来への不安。
もう少し、素敵な大人になっている事をあの時は
想像していたのに…。

それでも変わらないのは、友達と会えば最終的に
学生の頃を振り返って思い出話に笑い合っている。
大人になったなと思う反面、まだまだ学生のように
くだらない事で笑い合える事が1番嬉しい。

テレビを付けると、各地の新成人が色とりどりの
晴れ着を身に付けて将来について語っている。

どんなに素敵な晴れ着よりも、大人になったと自覚して
将来について語るその瞳が、その顔が
とても素敵だと思う。
晴れ着よりももっと素敵な色とりどり溢れる未来が
彼らに訪れる事を願って…。

12/25/2023, 11:17:51 PM

#クリスマスの過ごし方

子どもの頃好きだった絵本がある。

『さむがりやのサンタ』という
サンタクロースがクリスマスにプレゼントを準備したり届けたりする様子を漫画のようにコマ割りされて、
たくさんの絵と少しのセリフだけの絵本だ。

寒いのが苦手で、面倒くさがりなサンタクロース。
ブツブツと文句を言いながらも準備をしていく。
何だか子どもの夢が壊れそうなサンタクロースだけれど
本当にどこかで準備をしているんじゃないかと思って、クリスマスが近づくたびに読んでいた。

クリスマスと言えばもう一冊、好きな絵本がある。

『サンタさんからきたてがみ』という
ねずみの郵便屋さんが主役の物語。
雪で汚れて宛名が分からなくなった手紙を森の動物達と
考えていくと、サンタクロースからプレゼント配りを
お願いするねずみの郵便屋さん宛の手紙だった。

動物達とサンタクロース。
ファンタジーに溢れる非現実的な物語にワクワクして、
『さむがりやのサンタ』と一緒に読んでいた。

大人になって保育士になった現在。
クリスマスが近づくと本棚に2冊の絵本を置く。

ワクワクした顔で読む子、パラパラとめくって読む子、
これ読んでと私の所に持って来る子。
楽しみ方はそれぞれだ。

子ども達と一緒に私も絵本を読む。
もしかしたら私が1番楽しんでいるかも。
ページをめくった瞬間にあの頃の気持ちを思い出す。

「先生、クリスマスって楽しいね!」
一緒に絵本を見ていた1人の子がキラキラした目で
私にそう言う。

「うん、楽しいね!」
彼女にそう言うと嬉しそうに笑う。
純粋に楽しめるそのキラキラした目、
大人になっても忘れないでほしいな…。
どこかにいるサンタクロースに願いを込めて
次のページをめくった。

12/24/2023, 11:55:11 AM

#イブの夜

恋人と過ごす、初めてのクリスマスイブ。
社会人になって人生で初めてできた恋人。

クリスマスに恋人がいなくて寂しいと、 
友達の話に共感できなかった学生時代。
家に帰れば家族がいるじゃない。寂しいって何…?

恵まれている家庭で育ったのか、
単純に恋人ができない事に捻くれて言った
強がりだったのか。

どっちだったのか今でもそれはよく分からないけれど、
クリスマスに恋人がほしい理由はよく分かった。
恋人がいるとこんな幸せな気持ちになるなんて
思わなかった。

「はい、これクリスマスプレゼント」

1人幸せに浸っていると、彼が渡してきた。

「わあ、ありがとう!私も、メリークリスマス!」

「ありがとう!開けて良い?」

「うん!私も開けるね〜」

2人で開け始めて、思わず目が合う。
中身は2人ともマフラーだった。
しかも、色違い。

「クリスマスプレゼント何が良いか分からなくて…」

何にしたら良いか分からなくて、定番を選んだのに
理由まで一緒なんて…笑

「私も何が良いか分からなかった」

「ははっ、そうだよね笑 でも、これでお揃い…だね」

「うん…!」

初めてのお揃いが思いがけない形になったけれど、
とっても幸せだ。

恋人がいるクリスマスの幸せを知ってしまったから
もう、あの頃には戻れない。

今頃子ども達にプレゼントを配る為にイブの空を
駆け巡っているであろうサンタクロースに願う。
来年も、その先もずっとあなたと一緒に幸せな
クリスマスが過ごせますように。




12/24/2023, 12:32:55 AM

#プレゼント

子どもの頃、クリスマスが嬉しかった。
朝起きるとプレゼントが届いているから。

「ねえ、サンタさんから何貰った?」

「鞄貰ったよ!何貰った?」

「私は欲しかったゲーム貰った!あと、珈琲置いたら
 半分なくなっていたの…!」

「えー!凄い…!私も今度置いてみよ〜」

学校に行く途中も、プレゼントの話が止まらなかった。

大人になるのが楽しみだったのに…。
サンタなんていないじゃないか。

街がクリスマスムードで賑わう中、終わらない仕事と
格闘していた。

「あーあ、早く寝ないとサンタさん来ないのに…。」

「ははっ、頑張っている君にサンタだよ」

「先輩…!」

私が密かに憧れている先輩が、カフェラテを持ってきてくれた。

「明日のイベントが終わったら予定はあるか?」

「え…!ないです、ないです!」

「今日の夜、てか今だな。
 サンタになってプレゼントは届けられないけれど、
 大人のデートを一緒にしないか?」

「ぜひ…!喜んで!」

「あともう少しで終わりそうじゃないか。
 明日のイベントとデートに向けて早く寝ないと
 サンタが来ないぞ笑」

「あー!さっきの事は忘れてください…!」

「ははっ、分かったよ笑 あと少し頑張ろう」

「ありがとうございます!」

先輩がくれたカフェラテを飲んで
さっきまで沈んでいた気持ちが上がるのが分かった。
我ながら単純すぎる。

子どもの頃の私へ。
クリスマスまで仕事をする大人になるとは思わなかったけれど、素敵なサンタさんから素敵なプレゼントが
貰えたよ。大人になるって楽しいね。

12/23/2023, 5:23:47 AM

#ゆずの香り

大人になって、恋人を作ろうとアプリを始めた。
気になる人もできて、何だか良い感じ。

でも、今まで恋愛なんてしてこなかったから、
相手の心が分からなくて不安ばかりが募る。

もう一回会いたいって言ってくれたけれど、
私の事どう思っている?何人の中の1人なのかな?
私だけに会いたいって思ってくれていたら嬉しいな…。

今日は2回目のデート。
クローゼットを開けて、私が1番可愛く見える服を探す。
鏡を見て、私が1番可愛く見えるメイクをする。

よし、これで大丈夫。
ドキドキする気持ちを無視して、自分に言い聞かせる。
多分、大丈夫…。
家の鍵を掛けてドキドキする気持ちに蓋をする。

あ、これ忘れてた。
鞄の中からハンドクリームを取り出す。
指の先まで、可愛い私でいたいから。
ゆずの香りがする私のお気に入り。

あなたに可愛いって思ってほしくて、
できる事は頑張った。

可愛いって言ってくれたら嬉しいな。
冷たい風が吹く冬の空に願いを込めて歩き出した。

Next