陽葵

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#クリスマスの過ごし方

子どもの頃好きだった絵本がある。

『さむがりやのサンタ』という
サンタクロースがクリスマスにプレゼントを準備したり届けたりする様子を漫画のようにコマ割りされて、
たくさんの絵と少しのセリフだけの絵本だ。

寒いのが苦手で、面倒くさがりなサンタクロース。
ブツブツと文句を言いながらも準備をしていく。
何だか子どもの夢が壊れそうなサンタクロースだけれど
本当にどこかで準備をしているんじゃないかと思って、クリスマスが近づくたびに読んでいた。

クリスマスと言えばもう一冊、好きな絵本がある。

『サンタさんからきたてがみ』という
ねずみの郵便屋さんが主役の物語。
雪で汚れて宛名が分からなくなった手紙を森の動物達と
考えていくと、サンタクロースからプレゼント配りを
お願いするねずみの郵便屋さん宛の手紙だった。

動物達とサンタクロース。
ファンタジーに溢れる非現実的な物語にワクワクして、
『さむがりやのサンタ』と一緒に読んでいた。

大人になって保育士になった現在。
クリスマスが近づくと本棚に2冊の絵本を置く。

ワクワクした顔で読む子、パラパラとめくって読む子、
これ読んでと私の所に持って来る子。
楽しみ方はそれぞれだ。

子ども達と一緒に私も絵本を読む。
もしかしたら私が1番楽しんでいるかも。
ページをめくった瞬間にあの頃の気持ちを思い出す。

「先生、クリスマスって楽しいね!」
一緒に絵本を見ていた1人の子がキラキラした目で
私にそう言う。

「うん、楽しいね!」
彼女にそう言うと嬉しそうに笑う。
純粋に楽しめるそのキラキラした目、
大人になっても忘れないでほしいな…。
どこかにいるサンタクロースに願いを込めて
次のページをめくった。

12/25/2023, 11:17:51 PM