サヨナラ の交換は
句読点もしくはPeriodみたいなものであって
その前からずっと、ずぅっと繋いできた文脈の
とりあえずの区切りの目印というだけ
だからそんなに泣かないで
君のこれからがまた始まるための
サヨナラ
[サヨナラっていう意味がこれきりって意味だと最後まで気がつけなかった]
[恋文_中島みゆき]
下戸のじいちゃんが集めた
今やビンテージのウイスキーボトル
家主を失った虚しさを
共有できる相手を探していた私は
何気なくそのガラス戸を開ける
カラカラと小気味の良い音が
風通しの良い平屋に響く
1986
私の生まれた年のNapoleon
今でも快活なじいちゃんが
天気に文句をいいながら
畑仕事から返ってくる気がしてさ
捨てられないんだ、なんにも
[じいちゃんのいえ]
商業用プラネタリウムで
泣こうとして泣いていた私
本物の下では
押し寄せる夜の海に
星のひとつひとつがさざめき
綺麗 なんかじゃない
そこにあるのは 圧倒 である
喜怒哀楽も
赦す許さないも
愛さえもどうでも良いこと
私という個体の無意味を知る
すべてはこれに内包された
些細なことだと思うと
大笑いして私は
まだ灼熱のコンクリートに仰向けに寝転んだ
服の汚れは心底どうでもいいし
皮膚くらい虫にくれてやっていい
なるべくなるべく静かにして
出来ることなら鼓動も息もやめてしまって
私も夜の海に取り込んでほしい
仲間外れは寂しいと、酷く思う
[会津の夜空にペルセウス座流星群]
思いがけない人からプレゼントを貰って
見に覚えのある感覚に陥る
あれはいつの日だったか
山間のふるさと
風ぬける夏野で
振り返りざまに麦わら帽子を被せてくれた
あの人の笑顔を思い出した
同じだとおもった
ここは歓楽街のど真ん中だが
あの目の中に太陽が飛び込んで燃えるような
世界の明度が上がるような感覚
私はこの人を好きになったんだろう
[好きになる、言語化作戦]
実験を繰り返して
犠牲は厭わなくて
晴天は突然灰色に
この期に及んで
マウントを取合い
それで…?
それで終点はどこ
[善悪もないウラン鉱石の終点はどこだ]