理解し難いものの攻撃から 身を呈して守ってくれた
私の記憶が曖昧だった頃の話だが
それだけは鮮明に覚えている

あれからどのくらいの年月が経っただろうか

小さな病室で私はやっと気付く
お母さん、貴女の背中は
思っていたよりも小さく か弱いものだったのですね

私を守ってきたその背中を買いかぶり
ぬくぬくと生きてきた自分に嫌気がさした。

「あとは全て任せて」
凍った心をゆっくり溶かしていく
静かな夜明け

自分が心を許していないのに
まるで相手の全てを受け入れるかのような
そんな姿勢だと良くないね
勘違いしないように
勘違いさせないように

あなたが好きだよ
色んなことを一緒にしよう
楽しい思い出 いくつか出来たら
それは花束みたいになるでしょう
花が枯れる前に死にましょう

これで、永遠の花束の出来上がり。

君は手紙を欲しがった
手紙は想いを伝える手段

君への手紙！そうだなぁ、なんて書こう
「ありがとう」 や「流石です」
ポジティブな君への思いを書いたよ
嘘偽りない純粋な気持ち

だんだん君は心まで欲しがった
「好き」や「尊敬」、「あなただけ」
尊敬はしていますよ でも好きはあげない。
言葉を選んだ少し苦しい気持ち

だんだん君は全てを欲しがった
「言うこと聞きます」「ごめんなさい」
私を操りたいんだな 機嫌悪い君は怖い
恐怖に軽蔑がまじった汚い気持ち

『君が苦手 もう私の前に現れないで。』
荒波立てたくなくて
深い海の底に隠した手紙