「鏡」
何も釣れなかった…二週間ぶりの休日だったのに…こんなことなら家で寝てればよかった
なんだか浜辺が騒がしい…近所のチンピラだ、そいつらに羽交い締めにされてボディブローを食らってるのは…ウミガメ!?
ウミガメならいいか…
気配を殺し足を早める
「ちょっと待って下さいよぉ!」
若手芸人?…いやウミガメが喋ったのか!?
チンピラがこちらに気付く
逃げ出す僕、逃げる者を追いかける習性のチンピラ
目が覚めた…綺麗な人がたくさん…キラキラした場所…もしかしてここは竜宮城?
「それではお会計になります」
チンピラたちが取り出したのは…僕の財布!
キャバクラ!動けない!亀甲縛りにされてる!
「亀さん、ゴチになりまーす」
ピピピッ…ピピピッ…ピピピッ…
目覚ましが鳴る
2時間しか寝れなかった
鏡に写る僕はものすごく老けて見える、玉手箱でも開けたみたいに
「自転車に乗って」
いつの間にか自動車専用道路を走っている
これ…ネットに晒されるやつだ
まさか自分がこちら側の人間だったとは…
バイト先に入ってきた女子大生
四十の僕にとって最後の恋だった
1時間前、告白してフラれた
そしてがむしゃらに自転車を走らせていたらこんな事になってる
もしこれが夕方のニュースにでもなったら彼女にバレるかもしれない
そしたら「やっぱり私の判断は間違ってなかった」と思うことだろう…間違っているのに!
自転車のミラーに情けない顔が写る
いろんな事から逃げてきた人生だった
でも今は出口に向かって進むしかない
こんなに辛いことなんだ
でもこれをやり遂げられたら男としてレベルアップしてる気がする
もう一度、告白しに行こう
僕のダンロップシューズは勢いよく回転し始めた
「つまらないことでも」
みなさんは吉川晃司と大友康平をご存じでしょうか?
いいえ、違います、彼らはロックスターではありません。
彼らはある暗殺機関に属していた殺し屋なんです。
そして私はその暗殺機関で受付嬢として働いていました。
二人の男と一人の女…そうです、吉川と大友は私を巡って争ったことがあるんです。
吉川晃司と言えばシンバルキック。
その威力は凄まじくシンバルパンチの二倍の威力があったそうです。
そして大友康平と言えば華麗なマイクスタンドパフォーマンス。
彼はあのマイクスタンドの凄まじい回転で集まってきた人間に催眠術をかけて自在に操る事が出来ました。
こんな事を言っておいてなんですが決して『大友康平 マイクスタンド』で検索しないで下さい。
もうこれ以上犠牲者を増やさないためにも…
「病室」
「悦ばれる肛門ですよ」
耳を疑った…どういう事?
見返した医師は爽やかに微笑んでいる
イボ痔を診てもらいに来ただけなのに…
この人は肛門からイボを取り除くだけじゃなく自信を植え付けようとしてくれてる?
ダメ…今、そんな優しくされたら…私
泣きじゃくる私を尻目に彼はゆっくり座薬を押し込んでくれた
「最悪」
「お前も現金をバッグに詰めろ!」
はい、出ました「お前呼び」
そう呼ばれた瞬間、現実に戻されちゃった
嫌いなんだよね。
「お前」って呼ばれるの
ボニーとクライドを気取りたかったのにさ…
私は目出し帽を脱ぎ捨て、すき家レディオが流れる店をあとにした