ハケンハゲ

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10/27/2024, 1:39:49 AM

愛言葉


「山」

「川」

ガララ…

「入って」

忍びの世界に合言葉はある

忍びの世界に愛言葉はない

忍びの世界に言葉攻めはある

忍びの世界に恋愛術はない

忍びの世界に淫術はたくさんある

忍びっていいなぁ

7/30/2024, 4:12:35 AM

嵐が来ようとも


14日 土曜日 曇り

たとえ嵐が来ようとも私は二人を家に上げるつもりはなかった

私の娘は昨日から入院している

理由は玄関前で佇んでいる大男にバイクで轢かれたからだ

アクセルとブレーキを間違えたと言うが…

本当にそんなことが?

巨漢の男はおそらく中年…バイクの事はよく知らないがアクセルとブレーキを間違えるほどの年齢とは思えない

おそらくと言うのは男は仮面を付けており顔が見えないからだ

男は数日前にまぶたの手術をしてダウンタイム中?だからと母親から説明を受けたが…

いい大人が母親同伴で仮面を付けたまま謝罪と言うのはどうにも誠意が感じられない

菓子折の厚切りバウムクーヘンも強い意志で突き返し帰って貰った

母親にジェイソンと呼ばれていたあの男…

これで終わる気がしない

家は知られてしまった

いいさ、来るなら来い

その時はアクセルとブレーキを間違えずにお前を轢いてやる

そう誓った私は娘の見舞いに行く途中、アクセルとブレーキを間違え事故を起こし入院した

4/15/2024, 4:47:40 PM

「届かぬ想い」


みんなの安全守ります♪
全米ライフル協会♪

流れるCMを見て実感がわいてきた

ほんとにアメリカにいるんだ…

僕は難しい手術を受けるためにアメリカに来てさっきその手術が終わったばかりだ

腕には点滴、嬉しいアメリカンサイズ

さすがアメリカ…何もかもスケールが大きいや

今日を迎えるまでにずいぶん時間がかかった

手術が怖くてゴネていたら親がプロ野球選手を呼んでくれたりもした

「プロなら僕の為にホームラン打ってよ」

結果は3三振で途中交代、3打席目、バットを短く持ってヒット狙いに切り替えた事に腹が立った

結局みんな自分が大切なんだ……そうか、それなら僕も自分を大切にしなきゃ

逆にそう思えて手術を受ける気になれた

「バタン」

執刀医がドーナツを食べながら病室に入ってきた

よれよれのシャツ…ぼさぼさの髪…とても天才ドクターとは思えない

「良いニュースと悪いニュースがある、どっちから聞きたい?」

アメリカにいるんだ…

「じゃ、じゃあ悪いニュースから」

「お前の手術は失敗した、残念だったな」

えっ?…こいつ、ドーナツ食いながら?

「そんな…嘘でしょ!?じゃあ良いニュースってなんだよ!?手術また受けられるの!?」

「大谷の容疑は晴れた、よかったな」 

「………」

こんな人間がゴロゴロいるアメリカ…そりゃライフルが売れる訳だ

僕はため息をつきヤレヤレと肩をすくめた


11/12/2023, 9:17:22 PM

「スリル」


ガシャン!

思いっきり屋根瓦を踏み抜いてしまった

早く逃げないと…

異変に気付き犬がけたたましく吠える

腰まで埋まってなかなか抜け出せない

となり近所の犬まで吠えだして大合唱が始まった

だから犬はキライなんだ


私の名は「キャッツアイ」この道20年のベテラン怪盗だ

表の顔は平凡な二児の母で万引きGメンの仕事をしている

絶対的な立場から万引き犯に説くモラルや人格否定ほど気持ちの良いものはない

その後、優しい言葉で語りかけ理解を示し、心からの謝罪を受け取ったあと優しく微笑み警察を呼ぶ

安堵から絶望そして怒りへと変わっていく表情がたまらなく面白い

もし捕まって万引きGメンの私がキャッツアイとバレたら袋叩きにあうだろう

いや待て…今は逃げることに集中しないと

私は屋根から飛び降り走り出した



あの公園でしばらく身を隠そう

身を隠すのに丁度いい遊具のトンネルがあった

ようやく落ち着ける

もうキャッツアイは引退しないと…さすがに潮時だ

………

安心したら眠気が襲ってきた…少しだけ寝よう…少しだけ


外がずいぶん騒がしい…子供たちの声がする

外を覗くと沢山の子供と数人の大人達

……ラジオ体操か!くそ、6時間も寝てしまった!

どうする?トンネル内で見つかれば完全に不審者だ

しかし出て行っても……いや待てよ…むしろ堂々と出て行けば…


「おはようございます!」


目を丸くする子供たち

笑顔、笑顔、堂々と振る舞え

「アハハ」

「気合いスゲー」

「おばさん面白い」

よかった…

夏休みでよかった

ラジオ体操でよかった

レオタード着てて本当によかった


11/8/2023, 4:58:13 AM

「あなたとわたし」


「久し振りだね…あれからもう二年が経ったね…実はわたし……今度結婚するんだ」

かつて結婚を誓ったあなたへ…ようやく結婚の報告が出来たよ

「すごく優しい人でね、人柄に惹かれたんだ。きっかけはあの事故で私の担当になってくれた医者の―」

あなたを裏切った事になるのかな?

天国のあなたは「そんなことないよ」って優しく微笑んでくれると思うけど…

「…あの人待たせてるからそろそろ行くね。あなたが大好きだった甘栗、お供えしたから沢山食べてね…さようなら」


大きな栗の木の下で

あなたとわたし

栗の木の下敷きに

大きな栗の木の下Dead


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