24時を過ぎても寝なくなった。朝は起きれないけど、子どものうちはどうか許して。
あの人に会えた今日が終わらないでほしいの。
【ミッドナイト】
寝れない夜がある。将来のことをぐるぐる考えて、ベッドの中で1人暗闇の中にいる。無秩序に変わっていく世界の中で、私は変わることが怖かった。
どうしようもなくてスマホを開いて、何か動画を聴こうと思った。何でもいいや。そんな私の指が触れたのは、夜を優しく包む光になった。
動画だと思ったそれは配信だった。聴きやすい声音。きっと面白いことを言っているのであろう、少しわざとらしい抑揚。サイダーのような笑い声。不思議とこの人の声を聴くと心が解けて、その日は眠りについた。覚えていないけれど、幸せな夢を見たような気がする。
その後、その人のことを知って好きになる日が来るのだが、それはまた別の話。
また不安になって眠れないときは、サイダーのような変わらない声を聴かせて。
【安心と不安】
無邪気に笑う貴方に落ちる陰を見たとき、私はようやく貴方を照らしていた光に気づけるの。
貴方の輪郭を形作るのは、こんなにも眩しい光だったんだね。
【逆光】
私には小学生の頃に好きだった男の子がいる。
彼は急に転校してしまって会えなくなった。けれど、私はいなくなった彼のことをたまに思い出しては心の中の炭酸水が小さく弾ける。良く言えば一途で純粋な、子どもの片恋だった。
そうやって思い出した日は、決まって彼の夢を見る。彼が当たり前のように私と話している夢を。私は幸せで、それが夢だと気づかない。夢の中の私たちは子どもの姿をしていた。
目が覚めて、ベッドの上。彼の姿も声も本物ではなかったと気づく朝。心の中では炭酸水が弾けている。ぼんやりと白い天井を見つめる。現実に戻るまでの間だけ、私は子どもだ。そして夢を思い出して後悔する。
あぁ、また好きだと言えなかった。
【こんな夢を見た】
もしもタイムマシーンがあるなら、私は過去に行くだろう。ずっとずっと昔に行って、その時代の言葉を知りたいから。
例えば、平安時代。その時代には源氏物語のような言葉遣いで彼らは話し、和歌を詠んでいた。今では考えられないことだ。この現代で古語で話している人を見たら、思わず驚いてしまうだろう。それはそれで面白みがあっていいのだが、私はその時代の流行や言葉の趣を見たいのだ。彼らが当たり前だと思っていたことを肌で感じてみたいのだ。
そうやって、過去の言葉たちを順繰り見ていけばいずれ現在にたどり着く。そして、タイムマシーンを降りたとき。いつもの街に戻って行き交う言葉たちを見たとき。私は今の言葉を深く抱きしめられる気がする。
【タイムマシーン】