私には別れた恋人がいる
付き合っていたのは1年と少しだ
よく電話をしていた。外で話すのが恥ずかしかったのだろう
もう未練なんてないけど、不意に思い出してしまう楽しかった記憶。夢に出てくる優しい彼
過ぎた日々を思い出してもきっと何にもならない
あの人に幸せになってほしいと願うのも不幸になってほしいと呪うのもそこに意味はないのだろう。
お互い忘れて生きていこう
同じ時を生きているのなら過去はもういらない
開けないLINE
ピロン♪
スマホの音がなった
彼からのLINEだ
私達は付き合って4年、もういい年だ
そろそろそういう話が出てきてもいいのでは?
自分で言うのはわざとらしくて恥ずかしいため、なんとか言ってもらおう
だが、LINEを開く前に見た言葉は私の期待を裏切った
「ごめん、別れよう、君と居て愛を感じられない」
どんな返信すればいいのだろう
言葉を失った私は今日はずっと呆然としてしまい
何も手につかなかった
LINEを開いたら終わってしまう
わたし達の関係が
いつから私は間違いを犯したのだろう
もう貴方のLINEを開けないよ
おまけの彼氏目線
彼女と付き合ってから長い時間が経った
彼女は奥手で愛の言葉を伝えてくることが少ない
彼女が俺のことを好きなのはわかるがやっぱり好きだとかそういう事をたまには言って欲しい
我ながら女々しいのは承知の上で思ってる
そこからなんとか言って貰おうとしたが無理そうだ
ごめん、俺は怖いんだ愛のないのかもと考えてしまって
そう思ったらメッセージをうっていた
「ごめん、別れよう、君と居て愛を感じられない」
俺はどんなメッセージが来てもLINEを開ける気がしない
いや、開けないそう断定してしまう自分が居た
【鏡】
これは自分を写すもの
姿だけでなく心すら
私は普通の女子高校生
毎日学校に行って友達とお喋りして
難しい授業をして
厳しい部活をやって
そんな何処にでもいる普通の女の子
でも、私は人より強いものがある
それは欲しいという気持ち
面白くて羨ましい
頭が良くて羨ましい
お金持ってて羨ましい
運動ができて羨ましい
でも、私が一番欲しいものは綺麗な顔
綺麗な顔さえあれば面白くなくても頭が良くなくてもお金がなくても運動が出来なくても
『美しい顔』それだけで周りはちやほやしてくれる
一応内面も大事なんだろうけどそんなものが本当に綺麗な人なんかいない
ネットの海には汚い考えの人ばかりがいる
だったら最初から美しいほうがまだまし
性格の悪いブスより
性格の悪い美人のほうがいいでしょ?
私の顔はさっき言った通り普通
すれ違ったら一瞬で忘れてしまう顔
私の嫌いなものは鏡
自分の顔が嫌いなのにそれが見えるのが嫌なの
実は私のクラスには美人な子がいるの
その子はドジで頭が悪くて貧乏で運動音痴で
でも笑顔が可愛いからみんなの中心になれる
おかしくない?ねえおかしいよね?
私のほうがきっとあんな顔だけのやつより頑張ってるのに
あいつより私のほうがきっと面白くて、頭が良くて、お金持ってて、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなん
家に帰ると玄関の壁に鏡があるの
私の醜い姿が
私は醜い?
わたしはみにくくなんかない
わたしはきれい
わたしはきれいなはずなのに
鏡に写るこの女はどうしてこんなに醜い顔をしているの?
私の顔はこんなはずじゃ
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
なんでこんな醜い性格なんだろう、私…
だから、一人でいたい
私はある事情によって不老不死にされた人間です
ですが、私は至って普通の人間です
普通に働いて、普通に友達を作って、普通に遊んで…
ですが、この年になると時代の流れについていけません
こないだまでゲーム機はゲームキューブが流行ってたのにもうスイッチになってて…
人間の進歩は凄まじいですよね
AIとか、そういうの、
私の人間関係ですか…?
私の人間関係は至って普通ですよ
肉親はもうとっくにいなくなりました
けど、ちゃんと名前や顔は覚えてますよ!
友人は私と同じくらいの年齢の人と知り合ったり紹介してもらったりして人の輪を広めてます
けど、深くは関わりません
何故かと言うとですね、まず、不老不死なのバレたくないんですよね、それに、あんまり関わると別れが悲しいじゃないですか
結構今まで関わってきた人の中に私の事を話そうと思った人がいました
結局誰にも話しませんでしたけど…
…あぁ!一人いました!話した人が
その人は私の元恋人ですね
別れたんじゃなくていなくなったんです
なので、元恋人
凄くいい人でしたよ
彼に告白をされて、私達は付き合いました
そこから2年ほど経って彼との話題で結婚が出てくるようになったとき、そろそろ言わないとっと覚悟を決めました
そこでも彼は優しかったです
そうなんだ、と受け入れてくれました
この人を受け入れて、この人を信じてよかった
私は心の底からそう思いました
そこからは幸せでした
籍を入れ、大切な娘が生まれて
この短く長い幸せが続いてほしい、そんなとき
夫が亡くなりました
通り魔に襲われて…
私がその事を知った時は呆然としてました
悲しみとか怒りとかそういう物すら湧いてきませんでした
娘はその頃15歳
年頃の子が大切な親を亡くして、普通にいられるわけありません
その頃から娘はよそよそしかったです
きっと私に何か思うところあったのでしょう
娘は高校卒業して直ぐに東京に働きに行きました
そこから2、3回ぐらいですかね会ったのは
まぁこんなもんですかね私の人間関係は
こんなに辛いことになるなら一人でいたかったです
え、もう大丈夫ですか?
貴方が最初聞きたいと言い初めて喋ったのに…
まぁもう貴方と会うことはせいぜいあと1回ぐらいですからね、喋ろうと思いましてね
何でそんな大事な事を知り合い程度の人に喋ろうと思ったですって?
ごめんなさい私は嘘をつきました
この話はほとんどの人に言ってます
こうやって喋ることで私に優しくしてくれますからね
関係を続けてる人も対して合わない人も喋ってデメリットはないですからね
それでは、また機会が合ったら会いましょうね
こんなに嘘つきになるんだったら一人でいたかったな
なんて、もう無理か
誰かのためになるならば
なんてどうでもいいこと言わないでよ
誰かのためより私のために
貴方はちゃんと生きてほしい
貴方は何処かに消えそうで、私はそれを怖がって
貴方の意志も聞かないで自己中ばっかでごめんなさい
私の檻に閉じ込めて、苦しみで貴方朽ちてしまう
それでもやっぱり言わないで
誰かのためになるならば