モンシロチョウはよく馴染む。
存在感を放ちすぎないから、青空に、花に、人工物に、景色すべてに溶け込めるのがステキ。
蝶々、ちょうちょう、ちょうちょ、チョウ、てふてふ。気持ち悪いとよく言われる「虫」であるはずなのに、
可愛くて優雅で綺麗だから蝶々だけは許されているっていう理不尽がすきだ。
てふてふは、どう頑張っても捕まえられないものであって欲しいな。別に速いわけでもないけど、飄々と人の間を舞って、脱力して気楽に優雅に生きている感じ。
誰にも捕まえられないから、ずっと実態が分からない。そんな妖精みたいな存在であればいい。
でもそれも全部私の勝手な願望ですね。
てふてふの標本も好きです。羽の模様をじっくりと観察
したくなる好奇心も分かります。
モンシロチョウとよく似たスジグロチョウって種がいること。スジグロチョウのオスは柑橘系のとてもいい香りがすること。そういう全部も、今まで人間に捕まった
てふてふが教えてくれたことことですから。
それでも、アゲハなんて名前では絶対に呼ばれない君が
すきだよ。ずっと綺麗で、清楚で儚いまま。私たちが、
そんな幻想をいくら押し付けたところで怒らない存在。
ところで、私の弟が教科書のエーミールと出会うのは
もうすぐかもしれない。これが時代の巡りか・・・ッ!
#18 モンシロチョウ
もう本当に恥ずかしいからいったんやめません?
好きになったら一直線。自分の想いを隠すなんて思考を挟むまでもなく。分かりやすく態度と行動に出て周りに筒抜け。タイプとかも全部飛んでいって好きな人が自分の好みになる・・・っていうくらい、意識のすべてをその人に
奪われちゃうんです。
盲目にはならないけど、夢中になっちゃうタイプだよ。冷静だと思ってた自分がぜーんぶ掻き回されるんだ。
えぇ、好きになったら驚くほどちょろいのが私です!
簡単に喜びます!気づいたらぼおっと見惚れてます!
自己紹介どうも!何か文句でもありますか!?
はい、深呼吸。
私が今まで好きになった人たち、みんな素敵でした。
おかげでどれだけ私が振り回されたか。ただ、いい意味でも悪い意味でも自分の感情に素直な私ですから、絶対に良好な関係性は築く。それがまた楽しい。
実際、何もできずに終わった恋は今までないよ。
初恋を除いて。
症状はあった。
ただ、これが「恋」だって認めるのが恥ずかしくて意地を張っているうちに、彼が引っ越してしまったから。
いなくなって苦しくなって、その時にはじめて「あぁ好きだったんだな」って気づいただけ。
今も好きだよ。嫌いになる理由がないんだもの。
気に入ったものは長いこと好きでいるタイプですから。
ずっとずっと綺麗なままで取っておくから、どうか、もう見直すことのない私の好きな映画でいてね。
今、私が好きな人は最新話を追っているドラマ。
もう私には、君に対しての欲はないんだけど、ただ、
過去の君がずっと好きなだけ。それだけ。
はい。ここで、この文章の一番最初に戻りましょう。
#17 初恋の日
どっち?
この世界、地球全部が終わるのかな。
それともただ単に、私がいなくなるだけなのかな。
いきなり全部が終わるのは悲しいから、後者にして
おこっか。だって、「私」という自己が観測しているものを「世界」と勝手に呼んでいるわけですし。
中学3年生のとき。確かあれは春かな?
あたたかい陽気に包まれた昼休みだった。
特別仲がいい!ってわけではないけど、なんとなくその場にいた女子数人で、集まって話してたんだ。
いいクラスだった。グループはあるにはあるけど、
ガッチリ固まる感じじゃなくて。すっと周りの人と
話せる、色んな関係性をみーんなが持ってる雰囲気が、
私は大好きだった。
バスケではしゃぐ男子を窓越しに眺めながら、まったり
緩く話す、それだけ。それだけの貴重な時間。
そうだそうだ、担任の先生も一緒だったね。
14歳と15歳のみんなで集まって話したよ。
しにたいね、って。
「ネガティブな意味じゃなくて、なんだろ?フツーに、幸せなままで終わりたいんだよね」
「わかるわかる、今んとこ人生上手くいってるから、
この先の悲しいことでマイナスになるのがイヤ」
「そうだよねー!もう受験とか信じらんないし、もしも失敗したらって思うと怖い」
「絶ッ対にこの先、幸せなこともあるって分かってるんだけどさ、それ以上に今が最高すぎて」
「そうそう!だって、絶対この先にある苦労ってめっちゃ多いじゃん?」
共感の嵐に包まれながら、先生だけが動揺してたなぁ。
「え!?みんなそれ大丈夫?」って。
でもね、センセ。別に私たち、本気で自殺しようとかは思ってないんですよ。ただ、何よりも純粋に、穏やかな気持ちで。私たち、本気で「しにたい」って思ってた。
成長してしまえば、惜しむもの、抱えるもの、責任とか色々くっついてきて、純度100%の幸せも感じにくくなっていく。みんなどこかでそれが分かってたから、あの時ああ思ったんです。私たち、本当に幸せでしたから。
このまま世界が終わっちゃえばいいのに、って。
今はもう、そんなこと言えない。
#16 明日世界が終わるなら
へぇえ、耳って「澄ます」ものだったのか。
はじめて知った!
じゃあ、私たちが日々聞いているものって、生活音って
濁っているんでしょうか。確かに、雑音と呼ばれるのは遠くの音が混ざり合ったノイズのこと。
地上はうるさいね。すべてを拾っていたら、きっと頭がきーんと痛くなってしまう。自分にとって必要ない情報が多すぎる社会です。みんながみんな真面目だったら、
「聞く」の他に「聴く」なんて漢字は生まれないね。
耳を澄ますのは疲れるよ。人の話を聴くのも疲れるよ。
最初から聴きたいものを決めて、イヤフォンから直接
流し込んでしまうのが結局いちばん楽だ。
コンサートとかライブみたいに、
「さぁみんなこれをきいて!」って用意された音に身を預けるのはだから幸せなんだろうな。
結論。
意識的に耳を澄まさずとも、強制的に飛び込んでくる
音が、私の心を揺さぶるものであればいいな。
・・・ん?
だとすれば、そっか、じゃああれもおんなじか。
好きな人の声。
#15 耳を澄ますと
なんてステキ!
二人だけの秘密って言うけれども、「君」と秘密を共有
しているのは僕だけだから、これはもう僕だけのもの。
僕だけのトクベツなんだよ。
って、きっと共犯者はみんな思ってる。
あぁ、後ろ暗い秘密じゃなければのお話だけど。
#14 二人だけの秘密