「ねぇ、芽依。相談があるんだけど。」
と放課後、親友の夏美に言われた。
『うん、どうしたの?』
「私ね、滉一くんのこと好きになったかも。」
えっ・・・滉一を?
『夏美、滉一と関わりあったっけ?』
たしか、夏美と滉一は、中学も高校も違うはず・・・。
大学だって、まだ入学して2~3ヶ月なのに。
「ないよ。ないけど、高校の頃から名前は有名だったから知ってるよ!向こうは、私のこと知らないと思うけど。」
『サッカー部のキャプテンで有名だったもんねー!』
サッカーしてる滉一を近くで見たくて、応援したくて、サッカー部のマネージャーになったんだもん。
「それでさ?芽依に応援してほしいなって。」
応援・・・か。したくないな。
『いいよ、応援する!』
あー、私のバカ。でも、私も好きだなんて言えないよ。
「ありがとう!」
はあ・・・、言ったら夏美怒るかな。一緒に頑張ろって言ってくれるかな。
でも、応援するって言っちゃったから、今さら言えないよなー。
「芽依がついてれば百人力だよ!他の女子なんて怖くないね!」
いやいや、怖いよ?高校の頃、結構睨まれてたし。
馴れ馴れしくすんなって言われたしね。
何を根拠に、私がついてれば無敵だと思うんだか。
『そうかな・・・。』
「そうだよ!高校も同じだし、滉一くんは芽依のこと知ってるもん!今度、紹介してね💕︎」
そうなるよねー。紹介かー。
夏美みたいな可愛い子紹介したら、滉一絶対好きになるよねー。
こんなの、最初から私が負けに決まってんじゃん。
諦めなきゃダメかな。
いや、諦めるなら、きっぱり振られてからだ!!
[お祭り]
「ねぇねぇ、明日のお祭り一緒に行こうよ!」
と親友の里奈に誘われた。
『特に、誰かと行く予定はないから、いいよ^^』
と答える。
「あっ、男子誘ってもいい?」
『知ってる人だったら構わないよ!』
「悠太と颯なんだけど、大丈夫?」
悠太くんと颯かー。
颯は、私たちの幼なじみ。
悠太くんは、中学からのお友達。
男女グループになる時は、だいたいこのメンバーが多い。
悠太くんは、人気者だから、よくいろんな女の子に話しかけられたり、お手紙をもらったりしてる。
『悠太くんとは、あんまり話したことないけど、颯がいるなら大丈夫!』
「OK!伝えとくね!明日は、浴衣着ようね💕︎」
翌日。
里奈の家に行って、里奈ママから浴衣を着せてもらう。
「佳奈子さ、悠太のこと好きでしょ!」
『えっ?!なんで知ってんの?!私、里奈に言ったっけ?』
「分かるわよ!何年親友やってると思ってんの?笑」
ば、バレてたか…。
『誰にも言わないでね?』
「言わない言わない!むしろ協力するわ!」
『ホント?』
「佳奈子に嘘ついてどうすんのよ笑」
『ありがとう😊』
持つべきものは友だね。
「よし、そろそろ行くよ!」
待ち合わせに遅れちゃ大変だー。
待ち合わせの境内に行くと、颯がいた。
「颯!おまたせ!」
「里奈、佳奈子!俺も、来たばっか。」
『良かったー。あれ?悠太くんは?』
「悠太なら、ちょっと遅れるって。」
そうなんだ。良かった。ちょっと心の準備の時間があるのね。
2人にさせてあげるって言ってたけど、あからさまだと颯にバレちゃうよー💦
「おまたせ。遅れてごめん。」
と悠太くん登場。
「じゃあ、行こっか!」
「2人とも浴衣なのに、俺ら私服って合わなくね?笑」
『気にしないで!私たちが着たかっただけだから!』
悠太くんに変に気を遣わせてしまった…。
「あっ!里奈!射的しよーぜ!!」
と射的の屋台へ走っていく颯。
「ちょっと!私、浴衣なんだから、走らないでよね!」
と言いながら、颯を追いかける里奈。
えー、序盤から2人きり?!
「あーあ。行っちゃった。」
『2人になっちゃったね。』
「だな。中学から一緒だけど、俺ら2人になることなかったもんな。佳奈子が嫌じゃなかったら、合流するまで、一緒に回らね?」
『そうだね。うん、回ろ!』
「サンキュ。何したい?」
なんだろー。
『何か食べたいかも!焼きそば行かない?』
「おっ、いいね!焼きそば行くか!あっ、俺も、射的したいかも。」
『じゃあ、焼きそば食べたら射的行こ!』
「昔から、颯ってあんな?」
『そうだね。やりたい所に走っていってた気がする笑』
「変わんねぇんだ笑里奈もよく巻き込まれてた?」
『うん笑2人して、迷子になってた笑』
「颯らしいな笑」
焼きそばを食べ終わって、射的の屋台へ。
『悠太くんは何狙い?』
と聞くと、
「佳奈子が欲しいもの狙う。」
と返ってきた。
えー?!胸きゅんすぎる(*´`)♡
「佳奈子、何が欲しい?」
『えっとー…。あっ、あのぬいぐるみ!』
私の好きなキャラクターのぬいぐるみを指さすと
「取ってやるよ。」
と言って、お店のおじさんにお金を払った。
「ほら。」
と、いとも簡単に取ってしまった、悠太くん。
ゆめかわないぬのぬいぐるみを受け取って
『ありがとう!』
と伝えた。