「怖がり」
喉の奥から何かが込み上げる。
息が詰まる。
目元が熱くなって涙が溢れて。
止められないんだ。
怖くて、そんな自分が情けなくて。
「愛と平和」
僕は鳩である。
平和や愛の象徴だと、勝手に決められた鳩である。
僕は馬鹿だけど、ちょっと誇らしい。
ちなみに、なぜ平和の象徴なのか知ってる?
くく。君は知らないのか。
僕のむかーーしの先祖がね、神様の怒りによって起こされた洪水が引くのを人間に伝えたんだ。
オリーブの小枝を銜えて、もう世界は平和だよって。
ノアって人間がちゃんと広めてくれたはず。
それと。
なんで鳩は九に鳥って書くか君は知ってる?
僕は知らない。馬鹿だから。
なんだかカラスが「自分の声も知らないのか」
なんて、ガァガァ騒がしいな。
僕は同類だと思うけど。
「たまには」
両手を合わせて、いただきますと言う。
適当に無難な服を着る。
右足から靴下を履く。
鍵を閉める。
通勤時にはお気に入りの曲を聴く。
どれも僕の日常。
たまには...たまにはいいよね。
そう思って、そっと鍵を閉めずに家を出た。
「大好きな君に」
明日は何を着よう。
お菓子とか作ったら喜ぶかな。
早く会いたいな。
ピピッピピッ
無条件反射的に手が動き、音源を叩く。
寒い。眠い。眠い。
ひとまず二度寝する。
はずだった布団から起き上がり、急いで支度する。
お菓子は昨日のうちに作っておいたから、あとはラッピングだけしなければならない。
慣れた手つきで洗顔、保湿、メイクする。
同時並行で服を着て、髪を整えていく。
最後にピアスをしてその場でくるんと一回転。
うん、ちゃんと可愛い。
ラッピングしていたらごはんが食べれなかったため、歯磨きだけ済ませて足早に玄関へ向かう。
行ってきます。
「欲望」
僕は走った。がむしゃらに腕を振って僕は走る。
血の味がして脇が痛くて息が苦しくて、
心は少し、軽くなった。
なんかもう苦しくて、脚を止めてしまった。
ずしりと重い身体。
楽になりたくて止まったのに、のたうち回って死にきれずにいる感情が、頭から心まで全部を支配する。
こんなにも苦しいのに、何も吐けない。変わらない。
この見慣れた街並みを出ることすらできない自分が心底嫌になる。
僕は、