「星のかけら」
いやね、あなたの髪が綺麗だと思って。
腰まである長い髪の毛がするん、つややと輝く。
私の髪は、うねったりはねたりして仲が悪い。
私の髪がすてきな秘密、教えてあげよっか?
私ね、星を食べたの。
空から降ってきたお星様。
岩でできた櫛も使っているわ。
あぁ、そうなの。
はねた髪が私の心をうつすみたいに、私の髪はもさもさになった。
「セーター」
手編みのセーターか、なんて考えてしまった。
思考0.1秒で平凡を悟り、自己嫌悪。
おっと、普通なのは責めるべきではない。
重い頭をもたげて見上げる空。
何かを成したいのに浪費してる今。
暖かいはずのセーターを通り抜ける風。
そんな私に、見てくれた君に、
いいことがあるといいな。
「海へ」
人が集まる。
友だちと、あるいは好きな人と遊びに
走りに
日焼けを求めて
働くために人が集まる。
ゴミが流れ着く。
ポイ捨てられた
風に飛ばされた
豪雨で押し流され、全てを飲み込んだ終着点。
想いを叫ぶ。
やり切れない想い
人前で叫ぶことすらできない苦痛
激情。
溜まりきって溢れる感情
海は全てを飲み込んだ。
「夜の海」
蒼白く光った。
ゆらゆらと引いては押すそれは、いつも見ている光景とはまるで違う、知らない世界のようだった。
これはただの赤潮。
でもいつも聞こえてくる波の音まで違って聞こえてしまう。それほどに気持ちが昂っていた。
波打ち際だけ、いつも通り。
だからちょっとだけ、その蒼色が欲しくて歩いた。
ざぶざぶざざ、歩く。
洋服が濡れる不快感。
体が強く引かれる浮遊感。高揚感。
冷たかった。
そうだこのまま死のうと思って。
何も考えずに。
何も考えないままにこれまでとこれからの全てを考えながら。
さいご、諦めきれずに諦めた
「子供のままで」
今日が過ぎた。
明日になった。
昨日、明日と呼ばれていた それは今日になった。
そうやって、日が過ぎていく。
でも僕は時間のなかで今日も、今を暮らしている。
連続的で変化が無いように見えて、
本当は何もかも違う。
あのときのままではいられなかった。