『手のひらの宇宙』
描かれた 絵と物語 造り出す
手の中から溢れ出す
無限の物語は
広大な宇宙のようだ
まさに手のひらの宇宙
無限の物語を生み出すのは
芸術家たちだけではない
無限の発想と
可能性を持っているのは
誰もが同じだ
それが発揮されないのは
大人になるにつれ
型が出来るからだ
常識が身に付いてしまっている
悪いことではないが
それのない子供たちの方が
奇想天外なことを思い付く
地球は丸い
片方が昼間なら
その裏は夜になる
人間は飛べない
でも鳥は飛べる
生きていれば
いつか死ぬ
当然だ
なんで?って子供に訊かれても
これらの説明は難しくない
宇宙って何?
どうやって出来たの?
神様は本当にいるの?
死んだらどうなるの?
未だに議論がされているもの
別に気にもしていないこと
大人でも不安になったりすること
子供はそこに何でも
疑問を作って自分の頭で
結論を出したりする
でもそんなこと忘れてしまう
疑問をもって
あぁ!こうなのかもしれない!
となったときの子供の頭は
計り知れないだろう
子供は絵を描くのが好きだ
思ったことをすぐに描く
大人は何を描いたのか
よく分からないことが多い
これは何描いたの?
と訊くが 尚更分からない
だって大人は常識を知っている
それが違うことを知っている
でもどこかに
この宇宙のどこかにそれが
常識を覆す意外なものが
あるのかもしれない
子供だけが作れる
手のひらの宇宙
『風のいたずら』
隠しつつ 話した本音 バレてない
風のいたずらか
風の噂か
話す前には戻れない
言わなければ
あのままずっと
隠せたろうか
本音を言わねば
何も伝わらん
『透明な涙』
見逃した 隠れて見えない 光下
綺麗だと思った
あなた流したそれが
一体何なのか
理解できなくて
見逃していたんだ
何もないのだと思っていた
あなたの見た先に何が見えたのか
とても分かりにくい
透明な涙に隠された
あなたの心は どこにある
『あなたのもとへ』
動けない 戦うことも ないままに
終わらす病 冬に置かれる
最後になるのなら
あなたのもとで
戦い死にたかった
戻る場所は
お二人の場所
先に逝ってしまった
追いかけるつもりなど
しばらくなかった
あなたのもとへ行くまでは
でも 逝ってしまった
だからせめて
あなたはまだ来ないで
『来るのが早いですよ さん』
『漸くまた
三人揃いましたね』
『そっと』
そっと出す 足音もなく 斬りかかる
近づく音も聞こえない
後ろに気づいた時には
もう遅い
白刃が迫るような虎口に
今の人間は生きていない
それは 幸せなことだろう
だが 確実に 弱くなっている