『特別な存在』
思い出すだけで、手汗をかいてしまう。
姿を見たくない、声を聞きたくない。
人の話は聞かず、人を傷つけるためだけの言葉を発するヤツ。
明日よ、来ないでくれ。
『バカみたい』
お願い、分かって、
もう分かってくれ、、、
『二人ぼっち』
大丈夫、父さんがいるから。
今晩から二人になるね。
久々に長男と夕飯を二人きりで共にする。
作るのは俺。
野菜をたっぷり入れたインスタントラーメン。
まだ、状況が理解できていない、息子。
大丈夫、父さんがずっといるから。
『夢が醒める前に』
憧れの女優とベッドの上で寝ている。
薄く目を開けたその顔が綺麗過ぎて、息を呑む…
その女優Aは、俺のことを甘い声で「B〜くん」と呼ぶ。
「やれやれ」と出た自分の言葉に違和感がある。
Aはこれから仕事あるが、少しでも、俺と長く居たいと、駄々をこねる。しかし、俺は「わがままは言わない約束だろ」と気持ち悪いことを言う。「え〜、でも、B〜くん、いつも忙しくて、なかなか会ってくれないでしょ?」女優のAに対して、俺は何をしている人間だったか…そもそも、ここはどこだ?真っ白な壁に囲まれ、ドアと窓が一つずつ、薄い色の木枠ベッドだけが部屋の真ん中にあるのみだ。窓から見えるのは、静かな海面だけで、今は昼のようだ。
Aは、ふてくされた顔つきで、のそのそと起き上がり、ドアから出ていき、トーストのみが乗った皿を持ってすぐに戻ってくる。「ん!」と、差し出された皿を受け取る。これは何飯だろうか…
Aは「やっぱり、今日はお仕事お休みして、B〜くんと一緒にいる。いいでしょ?」
「でも、Aが行かないと、たくさんの人が困るだろ?それに、仕事に支障を来さないようにするのが、俺たちが一緒に居られるために出された条件だったよね?」「そうだけど〜」
ん?そんなこと誰に言われたんだっけ?
その後も、わちゃわちゃと痴話喧嘩が続くが、「俺が?」という感じで、浮世離れした話が続く…
「ん?」
夢の中なのに、夢と気づいてしまう。夢の世界に意識が入り込めてないタイプの方かーーだったら、おい、まだ、起きるなよ?俺!今のうちに、もっともっとイチャついておくんだ!
「いつまで寝てるの!」
カバッと布団が剥ぎ取られる。仁王立ちで見下ろしているのは、母ちゃん。
涙目で「もう少しだけ、寝かしててくれよ!」
俺は実家住みだ。
『胸が高鳴る』
力強く振り抜かれたのが、テレビ越しからでも分かる。
打球はグングン伸びていき、バックスクリーン左にポーンッと跳ねて落ちる。
これを見たくて、見ていた。逆転だ!
どうか、夢を見せてくれ。